進化するJ2EE その真髄とは
<進化するJ2EE その真髄とは>11.プラットフォームの選択
2003/06/23 16:18
週刊BCN 2003年06月23日vol.995掲載
先日、セミナーで数百人が集まったときに、「プラットフォームが1つしかない、という企業に勤めている方、どれくらいいますか」という質問をしたら、誰一人手を挙げなかった。もちろん「パソコン上で」とか「UNIX系で」とか条件をつければ可能性はあるが、今日の企業システムにおいては、異種混合は当たり前の状況だ。
J2EEシステムのすばらしいところは、いろいろなプラットフォームがあり、その上に「捨てられないアプリケーション」が散在するとき、それらを統合する能力を発揮することにある。
たとえば、パソコンで稼動するデータベースとメインフレームで稼動するトランザクション・システムがあり、それをUNIXベースのウェブシステムから参照できるようにしたい、という要望は日常茶飯事だ。
もし、これらを「単一プラットフォームに移行しましょう」とか「単一プラットフォームに接続しましょう」ということになれば、そのコストは大変なものになる。「安価に接続」という言葉に惑わされてはいけない。たいていの場合、大量に新しいハードウェアを購入させられ、アプリケーションのほとんどは書き換えだ。
J2EEシステムの場合、多くのプラットフォームでそれぞれのコンポーネントが稼動し、(最終的な見た目だけでなく、開発者から見ても、論理的に)シームレスに連携できる。パソコン上のデータベースにアクセスするEJBコンポーネントを作成し、メインフレーム上のトランザクション・システムに接続するJavaコネクタを作成する。ある程度新しいOSになっていれば、既存のシステムを更新することなく、新しいウェブシステムにこれらを統合することも可能だ。
プラットフォームを選択するときは、価格だけでなく、安定性、信頼性、メンテナンス性、規模、スケーラビリティなどさまざまな面から分析し、目的にあったものを選ぶべきだ。そして、企業のシステムを単一のものに固定する必要はない。手軽に追加したいところには安価なシステムを、信頼性が必要なところには高価でも安心できるシステムを、外向けサイトのようなスケーラビリティが必要なところにはクラスタリングに向いた機種を選べばよい。
アプリケーションやソリューションは、どこでも稼動可能であってこそできることだ。必要に応じて、柔軟に、迅速に、システムに投資できる体質を企業に与えてくれる。こんな時にも、J2EEは頼りになるアーキテクチャなのである。
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