Japan STOCK

活況の株式市場、IPOの人気も高まる

2003/06/23 16:04

週刊BCN 2003年06月23日vol.995掲載

エプソン上場に期待

 株式市場全体の活況を背景にIPO(株式新規公開)の人気も高まっている。引受証券の慎重姿勢から公募価格が割安な水準で決まるケースが引き続き目立ち、短期売買を狙った資金が流入する形になっている。

 その代表的な例が6月12日に東証2部に新規上場したネットマークス。公募価格は04年3月期の利益予想で計算するとPER(株価収益率)8倍台。東証1部全銘柄の平均が19倍、東証2部は11倍とあって、成長力のある企業としてはいかにも割安な水準。予想通り上場初日には買い注文が殺到して売買は成立しなかった。結局、上場2日目に公募価格の4倍である40万円で初値を付けた。同社は一般企業向けにLAN構築、IP電話などのネットワーク構築サービスを提供するほか、通信事業者向けにブロードバンドインフラの設計・構築サービスを提供。官公庁向けでは電子自治体などの地域情報システムに力を入れている。上場後の記者会見で同社の長尾多一郎社長は「売上高で年率25%の成長を目指す」と語り、IP電話事業の04年3月期の売上高が80億円と前期の2倍に膨らむことも明らかにした。ネットマークスが「割安なIT関連」として人気を集めたほか、IT関連以外でも同時期に上場したゲンキー(ドラッグストア)、ハーバー研究所(化粧品)が公募価格を2倍超上回る初値を付けた。

 6月24日に東証1部に上場するセイコーエプソンの公募価格が2600円に決まった。6月13日まで行われたブックビルディング(投資家の需要把握)では公募価格の仮条件価格の上限が当初の2450円から2600円に引き上げられる人気となった。公募増資は国内が60%、海外が40%の配分だが、海外投資家の間での需要が旺盛だった模様。今年最大の注目企業の上場とあって、そのスタートに関心が集まる。

 IT関連企業では6月30日にアソシエント・テクノロジーが東証マザーズに上場する。Java、CRM(顧客情報管理)をベースにした受託開発が売上高の7割を占める。電子会議システムの開発・販売、ウェブサーバーの24時間遠隔監視サービスなども手掛ける。この1年間で従業員は60人から110人と2倍に、03年7月期の売上高も前期比2倍を見込む伸び盛りの企業。

 こうしたIT関連のIPOが関心を集める一方で、00年春にかけて活躍した“ITバブル御三家”の株価も回復している。ソフトバンクはドイツ証券が「7月に改定されるキャンペーンの内容と成果に注目」として目標株価1900円(今は1600円台)を継続。光通信については野村證券が04年3月期業績予想を上積みするとともに「財務リストラを織り込んだ第1ラウンドに続き、本格的再成長を確認しながら第2波へ」とコメント。光通信の株価は今年1月の1000円に対して5月には2400円台まで上昇した。トランスコスモスについても「ネットバブルの“負の遺産”処理は完了した。(有賀勝久)
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