視点
パソコンの嫉妬
2003/06/16 16:41
週刊BCN 2003年06月16日vol.994掲載
こんな話を知人にしたら、「まさか機械が嫉妬するなんて」、という反応と、「いやそういうものだ」、という両方の反応があった。理由が分からないパソコンの故障に困ってその道のプロに相談したら、マジに巣鴨のとげ抜き地蔵のお守りを買って来い、と言われた人もいた。機械は使う人を見る。自動車も乗る人によっては、いくら過酷に乗り回しても長持ちする。逆にあまり乗らないのに、すぐ故障するのもある。つまり運転する人次第というところがある。情報機器でも同じことが起きる。
わが家では、夫婦ほぼ同時期に同機種のパソコンを買った。しかし、女房のパソコンは早くおしゃかになり、私のはいまだに機嫌良く動いている。機械の当たりはずれがあるにしても、機械は人を見ているとしか言いようがない。長持ちさせるコツは、と聞かれても、だましだまし使うからだ、というしかない。昔から機械に嫌われる使い方というのがある。蛍光灯はあまりつけたり消したりすると寿命を短くする。こんなことなら皆知っているが、パソコンの場合、嫌われる条件が多すぎる。ユーザー共通の知識にもなっていない。私自身20年近くパソコンを使っているが、いまだにパソコンの機嫌を損ね、そっぽを向かれることが多い。
電子政府化が進み、生活のあらゆる場面で情報機器を使う時代が来る。その時、使う人によってうまく処理できたり、できなかったりしたら、困る。端末をなるべくシンプルにするのも方法だが、それではサービスレベルが低下したり、メニューが少なくなったりしかねない。しかも、行政サービスはだれに対しても公平でなければならない。この市民は浮気なやつだから、意地悪してやれ、なんて機械に嫉妬されてはかなわない。
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