進化するJ2EE その真髄とは

<進化するJ2EE その真髄とは>10.開発体制をどう整えるか

2003/06/16 16:18

週刊BCN 2003年06月16日vol.994掲載

 J2EE開発者と呼べる人間にはさまざまな人がいる。特定のアプリケーション・サーバーでウェブプログラムを書いた経験だけある人、データベース・アプリケーションを書いたことがある人、EJBのようなコンポーネント・ベースまで深い知識がある人といった感じだ。人間、万能でないので、知識の範囲やレベル、経験などに偏りがあるのが実情である。(日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業部 WebSphere営業企画推進 テクノロジー・エバンジェリスト 米持 幸寿)

 同じような知識レベルのエンジニアが10人集まって、皆で同じ作業をしても、10人分の仕事はできない。J2EEにはさまざまな知識が必要であり、それに対して卓越した知識や経験を要求する。これはJ2EEに限らず、現代のITシステム共通のことだ。J2EEは特に企業向け技術であるため、その傾向が強い。

 J2EEシステムは、どのような機能をアプリケーションに実装するかで必要な知識が大きく変わる。単に「サーブレットのプログラムに精通している」エンジニアが良いシステムを作れるとは限らないのだ。なぜなら、巷にはさまざまなアドオン製品があふれており、それらをうまく活用しないと、低コストで良いシステムを作ることはできない。全部手作りする時代はとうに終わっている。

 高機能なウェブサイトを実現するには「ポータル」と呼ばれるソリューション製品がよく活用される。パーベイシブやユビキタスといわれる「さまざまなデバイス」に対応するための製品群も多くある。ホスト・システムとの連携や、システム・インテグレーション系の製品も見逃せない。システム管理やセキュリティに関しても、気をつけなければいけないことはたくさんある。

 これらのことをすべて1人で対応するのは大変なことだ。もちろん、部門サーバー、個人商店や小さな企業では、1人で対応せざるを得ない場合もあると思うが、それでも助けが必要なときもある。そのようなときは、J2EEベンダーのパートナー(代理店など)に相談しよう。不得意なエリアのみ、技術支援を受けることでいっそう安心なシステムを構築することができる。

 また、構築プロジェクトなどで多くの社員、多くのインテグレータとプロジェクトを組むこともある。このような場合は、プロジェクトをとりまとめるプロジェクト管理者、システム全体を見渡し、デザインするITアーキテクト、プログラム実装などを主に行うITスペシャリストなどの役割を明確にし、人材を選択、集結させる必要がある(これらの名称は経済産業省が策定したITスキル・スタンダードでも採用されている)。そして、アプリケーション構築に使う技術や製品を選定したら、それらを扱うことのできるプロフェッショナルを集めてくるのだ。

 前回触れたようにJ2EEアプリケーション開発は、ビルを建築することと同じだ。ビル建設には設計、土建、鉄骨、コンクリート、外装、内装、電気、電話、ガス、水道とすべての面においてプロが仕事をする。必要な技術のプロを、いかに低コストで集めるかがキーとなりそうだ。
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