Japan STOCK

記録づくめの上昇相場、10年ぶり大商いを記録

2003/06/16 16:04

週刊BCN 2003年06月16日vol.994掲載

米国株高が追い風

 米国株高が追い風となって活況展開が続く東京市場。東証1部の出来高は6月6日に14億9000万株と10年ぶりの大商いを記録。7日連続して出来高が10億株を上回ったのはバブル時代の1989年11月以来になる。日経平均株価に先んじてTOPIX(東証株価指数)が6月6日に今年の高値を更新してきたが、こちらは94年2月以来となる8連騰。まさに記録づくめの上げ相場だ。

 活況相場を引っ張っているのが外国人投資家。東京証券取引所の調べによると、5月の外国人の株式買い越し額は8668億円。3月は2383億円の売り越し、4月はわずか516億円の買い越しで、その姿勢は大きく変化している。週間単位では4月第3週から外国人は買い越しに転じているが、その週は米国株価がインテルの好決算をきっかけに上昇ピッチを速めた局面。米国株の上昇によって運用成績が向上、リスク許容度が高まった海外の投資家が余裕資金を日本株に振り向けているというのがこの1か月余りの動き。米国株上昇の影響をストレートに受けているといっていい。

 その米国株は、6月4日には約9か月ぶりにダウ平均が9000ドル台に乗せてきた。今回の米国の上げ相場は「イラク戦勝相場」とも言われるが、安全な資産に退避していた資金が予想以上の景気回復ぶりを見て株式市場に回帰している。6月24日のFOMCでの利下げが観測されるほか、スノー財務長官のドル安容認発言なども株価にはプラスになっている。もっとも、さすがに高値警戒感が出始めており、波乱となれば東京市場も影響を受けよう。小型株がまず人気を集め、市場全体のエネルギーが増えてくると大型ハイテク株に人気が広がり、最後は鉄鋼株など株価低位の素材株が買われて上昇相場は一巡、というのが過去によく見られたパターン。

 しかし、今回は人気化している株が広範囲に及んでいるのが特徴。NECや日立などハイテク株が大商いの一方で、いわゆる仕手株という種類の株も人気。さらに、ヤフーを軸にジャスダック市場も相変わらず上昇が続いている。金融機関や投信などの機関投資家はハイテク株、オンライントレードで活発に売買している個人投資家は仕手株と、投資家それぞれのターゲットが異なり、人気が一極に集中していないことが上昇相場を長持ちさせている一因のようだ。

 全体の株価上昇が続くなかでも、特に上げが目立つのがNEC、富士通をはじめとした大型ハイテク株。NECは4月中旬の安値333円に対して6月6日は543円、富士通は同じように300円が436円へと上昇している。「下げた株ほどよく上がる」という相場格言があるように、戻り相場の中では痛い目に遭った株ほど上がるもの。富士通は昨年末以降、財務面の不安まで指摘されていた。5月末には保有するファナック株式を550億円で売却、有利子負債を圧縮すると発表したことも株価にはプラスになった。(有賀勝久)
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