中国ソフト産業のいま

<中国ソフト産業のいま>22.システム販社、中国戦略強化

2003/06/09 20:43

週刊BCN 2003年06月09日vol.993掲載

 前号までは、中国で戦略的にビジネス展開する中小ソフト会社を紹介してきた。ハンディのあるベンチャーや地方企業こそ、中国との連携に発展性を求める傾向が強い。もう1つ目立つ傾向は、製造企業のソフト子会社(もしくは情報システム部門)が中国での外販を強化している点である。自らが現地で苦労しながら体得したシステム構築の技術やノウハウを売り物にしているのだ。最近の例では、バーンジャパンが光学メーカーのチノンテックと提携し、中国に進出する日系製造業に向けたERP(基幹業務システム)パッケージ「飛龍」を発売した。(坂口正憲)

 かねてからバーンが打ち出していた「定額導入ERP」の第1弾で、ソフトとハード、導入サービス(システムインテグレーション)を含めて定額4000万円、わずか5か月の納期で提供するとして話題を呼んでいる。実際、中国国内でシステムインテグレーションを手掛けるチノンテックは、香港と蘇州の自社工場にバーン製品を自前で導入した時に、4か月で稼働させている。同社は社員数500人の中堅製造業だが、システム開発には相当な実績と自信があるのだろう。すでに数件の受注案件を抱えているという。中国に進出する日系企業は2万社にのぼる。特に製造企業の集積が進み、現地では相当なIT需要が生まれている。

 しかし、生産管理などの専門知識をもち、中国の会計制度やビジネス習慣に精通した開発者となると、日本のソフト会社やシステムインテグレータにはなかなか見当たらない。そうなると、中国でシステムを自前で導入してきたチノンテックのような先進企業の経験とノウハウは、付加価値の高いサービス商品となり得る。そのほか中国では、中国の自社拠点で「SAP R/3」を導入・運営するシャープのシステム子会社が、松下電器産業など同業他社のシステム構築を手掛けていたりする。国内ではあり得ない取引形態が起きている。それだけ開発リソースが求められている。今後も製造系システムインテグレータが中国で活躍する場面は増えるだろう。
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