WORLD TREND WATCH
<WORLD TREND WATCH>第156回 ウィンドウズサーバー2003発売
2003/06/09 16:04
週刊BCN 2003年06月09日vol.993掲載
米業界、サーバー統合に期待
マイクロソフトがウィンドウズサーバー2003を発売したことにより、米業界ではこのOSと64ビットのインテル・アイタニウムあるいはAMDオプテロンのハイエンドサーバーによるサーバーコンソリデーション(統合)への期待が高まっている。当OSのエンタープライズエディションは最大8×アイタニウム、データセンターエディションは同64×アイタニウム構成が可能だ。また64ビットSQLサーバーのエンタープライズエディションは最大64CUP×2、すなわち128CPUサーバーも構成できる。サーバーコンソリデーションは多数の設置済みサーバーを1台の高性能サーバーに統合する手法でTCOを大きく削減できる。これでIBMはLinuxメインフレームで大成功している。このIBM手法を追うため、マイクロソフト、ヒューレット・パッカード(HP)はコンサルテンィグサービス体制を強化した。
米システムインテグレータ(SIer)の多くは、マイクロソフトの新OS発売で、ハイエンドサーバー分野に信頼性が高く安いインテルサーバーが出現することを期待している。マイクロソフトは「新64ビットOSとアイタニウムの組み合わせでUNIXサーバーよりも48%も低いコストで、データベース・トランザクション処理が実現できる」と説明する。また、中堅企業を対象とするSIer「コンバージェントランスシステム」のマイク・ホリーCEOは、「中堅企業は数百万ドル(数億円)の価格帯のUNIXハイエンドサーバーに代わる、安い高速トランザクション処理サーバーを期待している。これが新OSとアイタニウムで実現される」と語る。
新OS発売によって、IBM、日立製作所、デル、NEC、ユニシスはそれぞれ 、4-64Wayのアイタニウムサーバー発売を公表した。このなかでユニシスは、メインフレーム級のパフォーマンスを発揮する32-Wayのアイタニウム2SMPサーバーを発売し、IBMメインフレーム市場へ参入した。この1号機はインテルのデータセンターへ納入された。サーバーベンダーが本命視するのはアイタニウムの新製品「Madison(マディソン)」で、2003年中盤からの量産となる。
今後のアイタニウムに大きく期待するのは自社チップのアルファおよびPA-RISCフェーズアウトを発表しているHPである。マイクロソフトは新ウィンドウズサーバーOSで、UNIX、Linux市場の攻撃を目指す。しかし、サーバーはオートノミックと呼ばれる自己管理機能強化時代に突入した。マイクロソフトもオートノミック機能DSI(ダイナミック・システム・イニシアティブ)を発表しているが、その製品搭載ロードマップは未公表だ。また、オートノミックではIBMが先行している。従ってマイクロソフトのDSI実現が遅れると、マイクロソフトの目指すUNIX、Linux攻撃にすれ違いが生じることを懸念する、米アナリストも多い。(中野英嗣●文)
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