視点

立ち上がる健康セルフチェック市場

2003/05/26 16:41

週刊BCN 2003年05月26日vol.991掲載

 経済的な閉塞感のなかで、働けることの幸せ、健康であることの意味を改めて実感する。禁煙はもちろんのこと、食事に気をつけ、運動を心がけ、サプリメントも試してみる。残業も減って、酒の量もだいぶ減らした。生活習慣を改善して、さて自分は健康になったのだろうかと考えてみる。健康とは病気をしないこと…うーん…それだけだろうか。

 医療費の負担増加も結構大変だ。例えば8000円の治療費がかかった時に、1割負担では800円だったものが、3割負担では2400円になる。治療にあたって、いくつか検査を受けさせられたりすると、あっという間に4-5000円も取られる羽目になる。2時間も3時間も待たされた上にこれだと、「ちょっと医者に」といった気分にならない。かといって、病気を見過ごしていると、簡単に治るはずのものも治らなくなり、結局大変な思いをすることになる。

 セルフチェック、セルフエビデンス、マイドクターなどと呼ばれるサービスがさまざまな形で市場に現れている。自宅に居ながら簡単に自分自身の健康状態をチェックし、この検査データをデータベースに保管して自身の健康状態の変動を把握する。この情報を元にして主治医や各分野の専門家に気軽にかつ安価に相談できるといったサービスで、ほとんどがインターネットを組み入れたものになっている。

 こういった在宅型の健康検査サービスでは、3つの基本的なサービス機能が必要となる。第1に、小型かつ簡便な検査器具を必要な時に必要な場所に届け、かつ安全に回収するための安価な物流機能があること。第2に、検査の結果を迅速に利用者にフィードバックできるネットサービスと、万が一異常が発見された場合には適切な医療連携が用意されていること。第3に、このサービス全体に渡って高度なプライバシー保護システムが実現できていること。そしてできれば、集約された個々の情報を総合して、個人生活の様々な局面で便利に活用できる2次サービスへの連携機能をもっていること。

 利用者の手元に最終的に残るものは、自身の健康状態に関する数値指標の時系列集合と、これを基にした固有サービスである。これらを有効に活用するコツを身につければ、将来は自分のイメージに合った健康を随分と上手に入手できるようになるかもしれない。
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