WORLD TREND WATCH
<WORLD TREND WATCH>第154回 勢いづくホワイトボックスUNIX
2003/05/26 16:04
週刊BCN 2003年05月26日vol.991掲載
一時的現象との見方も
企業IT投資が大きく落ち込むなどIT不況下の米市場で、ブランデッド(有力メーカーブランド)でないホワイトボックスが、パソコン、PCサーバーに続いてUNIXサーバーでも大きく躍進してきた。2003年3月、米CRN誌の米SIer(システムインテグレータ)に対するベストセリングUNIXサーバー調査では、1位がヒューレット・パッカード(HP)の32%、2位がホワイトボックスで24%、そして3位にはサン・マイクロシステムズ、IBMが18%で並ぶ結果となった。
同時期のパソコン調査では、デルとホワイトボックスがともに28%の回答を得て、HP、IBMなどブランデッドより上位につけている。またPCサーバーでは、UNIX同様にHPが36%のベストセリング回答を得てトップとなり、ホワイトボックスが27%でこれに次ぎ、デル21%、IBM12%を押えた。
またホワイトボックスPCサーバーを組み立てるビルダーの多くは、Linux販売に注力するSIerが多いとCRNは報告する。従ってホワイトボックスPCサーバーのLinux搭載は30%近くに達したと推定されている。米市場のPCサーバー出荷台数は02年に160万台前後と推定されるのに対し、UNIXサーバーは25万台程度で数は少い。
しかし、単価ではUNIXサーバーがPCサーバーの約8倍と高い。このためUNIXビルダーのSIer売上高でUNIXサーバーが占める割合は高い。UNIXサーバーではホワイトボックスがブランデッドより粗利益率が10%近く高いため、SIerにとっては大きな利益源となっている。しかし、UNIXベースのSIerがホワイトボックスサーバーを販売するのは、高い利益率を確保する目的だけではない。UNIXサーバーはPCサーバーより有力メーカー直販ウエイトが高く、SIerは常にメーカー直販部隊との競合に直面している。従ってブランデッドサーバーではメーカー直販に敗れるケースが多い。
そのためSIerは、自社ブランドハードで自社独自のソリューションをバンドルする方がメーカー直販と差別化し易いと感じている。しかし、UNIX主体のSIerにとってメーカー直販以上に脅威と感じるのは、Linux PCサーバーの勢いだ。多くのUNIXアプリケーションは容易にLinuxへ移行できる。しかし、UNIXベースのSIerがLinuxベースPCサーバーへの移行をためらうのは、ハードの粗利益が大きく減少することと、これにともなってアプリケーション開発を含めたITサービス販売価格が安くなってしまうことだ。
企業のIT購買部門は、同一内容のソリューション、ITサービスであっても、その基盤となるハード単価が低い場合にはその購入予算を大幅に引き下げてしまう。従って高価なUNIXサーバーをLinux PCサーバーに置き換えると、ハード、サービスの両面で売上高に大きな影響が出る。しかし、ローエンドUNIXサーバーがLinuxに置き換わるのは時間の問題で、このホワイトボックスも運命を共にすると多くのUNIXビルダーも覚悟している。
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