進化するJ2EE その真髄とは
<進化するJ2EE その真髄とは>6.利用者の声は
2003/05/19 16:18
週刊BCN 2003年05月19日vol.990掲載
まず、悪い方から行こう。「J2EEを利用したとき、トラブルでひどい目にあった」、あるいは「J2EEでは障害が心配」というものだ。これは、実際に起きていることでもあり、それがそのまま雑誌などで取り上げられている例も多い。
しかし、もう少し良く聞いてみると、実際には若干違うことが多いのも事実だ。たとえば、「本当にそんなにJavaがひどかったのですか?」と聞くと、「いや、ほかのプラットフォームも同じくらいトラブる」ということがわかる。なぜトラブルが印象に残ってしまうかというと、メインフレームと同じレベルのサポートを期待したが、それが受けられなかった、ということらしい。Javaが基幹業務開発に使われ、重要な位置づけで使われていることの現れと言えるだろう。
われわれベンダーは、もっと頑張らなければならない。最近では、メインフレーム時代のように障害資料を取得し、後日解析できる機能や技術もかなり発達した。また、J2EEを利用するときは、安心できるベンダーやシステムインテグレータを選択する必要があるとも言える。
次に開発効率について。開発効率が良かったというグループと悪かったグループに大きく分けられる。そして、ほとんどの場合、大規模開発ではJ2EEの開発効率は良いと言われ、小規模なほど悪いという意見が多いようだ。
実際、最近の某調査会社の調査結果でもJ2EEによって開発効率が良くなるのはユーザーが500人規模以上のアプリケーションであるという発表があった。ある程度計画的かつ戦略的に作るアプリケーションのための「プロのツール」というのが位置づけになるようだ。個人が簡単にアプリケーションなどを作るのに適したツールはまだまだ不足しているので、そういう製品販売のエリアではなおチャンスがあるとも言える。
「Javaでなければ、ウチのアプリケーションは支えられない」という意見もある。本当に大規模なアプリケーションの開発である。開発はパソコンなどで作業分担をし、ネットワーク経由でソースコードなどを共有しならがら開発からアプリケーションの組み立てが行われ、最終的に大きなUNIX系サーバーやメインフレームに組み込まれる。このようなことができるのは、ハードウェア・プラットフォームやオペレーティング・システムに依存しない環境を提供できるJavaならではの得技である。
Javaを全面的に採用する企業では、「J2EEでなければ信用できない」という人もいる。少し感情的な面も感じられる言葉だが、信用できる企業がJ2EEを選択しているから、ということだそうだ。ユーザー企業との関係を大切にする企業がJ2EEを選択しているという言葉の裏返しなのかもしれない。
Javaは遅い、使い勝手が悪いという意見はこの数年聞かなくなった。もうそれは昔の伝説。Javaをどう使い、活用するか。利用者の意見を参考にする際には、その言葉の裏に隠されている真意を探る必要がありそうだ。
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