“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦
<“一技の長”を探る>5.リコーテクノシステムズ
2003/05/12 20:43
週刊BCN 2003年05月12日vol.989掲載
保守技術者が1日に4-5社訪問
同社では、社員1000人以上を大手顧客、1000人以下の企業を中堅・中小企業の顧客と区分けしている。前者は主に業務単位で受注し、後者は上流行程のコンサルティングから下流行程の保守サポートまで一貫して受注する方針を掲げる。大手顧客向けには、グループウェアやワークフローなど情報系のシステム構築を得意とし、中堅以下の顧客向けには業務改革から基幹系システム、保守サービスなど統合的なシステム構築を得意とする。
昨年度(2003年3月期)の売上高のうち、1000人以上の企業向けの売り上げの占める比率は約7割、それ以下の規模の企業は約3割と、大手企業の売上比率が高い。だが、粗利益ベースの比率で見ると、およそ大手が6、中堅が4と、中堅以下の顧客の方が売上高に対する収益性が良い。
高橋取締役は、「中堅顧客向けのビジネスを強化することで、着実に収益性が高まる。昨年度を振り返ると、業務単位で受注する大企業向けのビジネスでは、ずいぶん単価下落の影響を受けた」と、収益拡大のポイントは、同社の得意とする中堅企業向けのビジネスにあると考える。
具体的には、昨年4月から業務改革など上流コンサルティングを切り口とした提案に本格的に力を入れ始めており、昨年度の実績では、こうした上流行程を切り口とした受注を、約30社から得た。
今年度(04年3月期)は、引き続き30社程度の顧客から上流行程を切り口とした受注の獲得を目指す。
「当社は、全国約4000人の保守技術者が1日に4-5社ずつ巡回、長くても約2時間で顧客先に駆けつけられる体制を整えている。これまで延べ数で全国におよそ30万社の顧客と取り引きしているが、この顧客数を強みに転換するのが大きなテーマ」(高橋取締役)と強調する。
ハードやソフトの価格が下がる傾向にあるなかで、「顧客が業務改革の段階を済ませ、実際にシステム導入の段階に入ったときに営業を始めると、どうしても『じゃあ、いくらだ?』という“価格”の話から始まる。そうではなくて、日々の訪問のなかから潜在需要を引き出し、上流のコンサルティングから入って行けるようにする」と話す。(安藤章司)
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