“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦
<“一技の長”を探る>4.東芝情報システム
2003/04/28 20:43
週刊BCN 2003年04月28日vol.988掲載
組み込みシステム事業を拡大
企業向け業務システムについては、競争の激しい製造・流通業の分野で“消耗戦”を続けるのではなく、従来から同社が得意とする医療分野や官公庁関係の特定システムを伸ばす。また、ウェブ上で動作するアプリケーション開発も積極的に行う。(1)組み込みシステム、(2)業務システム、(3)ウェブアプリケーションの3つを揃え、「ユビキタス時代」に伸びるビジネスモデルを確立する。
六反田社長は、「携帯電話やカーナビ、PDA(携帯情報端末)など、さまざまな端末に向けて組み込みシステムを開発し、さらに情報の配信元となるサーバー側のシステム開発もできる。これらネットワーク上で動くウェブアプリケーションにも強いとなれば、『ユビキタス時代』に適応した体制をつくれる」と話す。
以前から、サーバーなどハードウェアの販売額が少ないため、市場の変化に適応したソフト開発へ経営資源を集中しやすい背景もある。
同社は、一昨年(02年3月期)に比べ売上高が減少傾向にあるものの、これら強みを伸ばす取り組みによって、経常利益ベースで改善。一昨年の経常利益が約29億円なのに対し、昨年度は約33億円と、売上高の減少に対して経常利益率は改善した。今年度(04年3月期)は、売上高を前年度比3.8%増の595億円、経常利益は30億円を目指す。
「今年度は、引き続き構造改革に投資をするため、経常利益は30億円にとどまる」(六反田社長)と話す。
今後、力を入れる組み込みシステム事業は、昨年度時点で、同分野の売上高のうち約6割が東芝グループからの受注で占める。外部からの受注は、まだ4割にすぎない。「組み込みシステムを伸ばすには、今後、この外部受注比率をどう伸ばすかがポイントとなる」という。
経済産業省の統計によれば、今年2月の情報サービス業の売上高は、前年同月比で2.5%減。「企業の情報化投資は依然として抑制する傾向にある。強みを生かした収益率の高い事業開発が急務だ」と話す。(安藤章司)
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