中国ソフト産業のいま

<中国ソフト産業のいま>16.中国にサポート拠点つくる

2003/04/21 20:43

週刊BCN 2003年04月21日vol.987掲載

 前号では、中小ソフト会社にとって、中国に進出する顧客への対応が、中国との関係作りの第一歩だと述べた。顧客がグローバル展開している現在、「海外までは面倒を見られない」という態度では先細りである。もちろん、その段階では日本からの延長線上で、中国との縁は浅い。顧客側で対応するのは日本人で、テスト環境さえあれば、開発は日本でも構わない。導入や操作説明で短期間中国に赴くだけで済むだろう。

 ただ、企業システムは作りっぱなしというわけにはいかない。実は、中国に進出する日系企業は規模の大小にかかわらず、作りっぱなしの被害にあっている。中国に赴任する大手電機メーカー関係者は、「日本企業にシステム開発を発注すると、最初は日本から技術者が訪れ、献身的に仕事をしてくれるが、いったんカットオーバーしてしまうと、ぱったり来なくなる」と嘆く。とくに生産管理システムなどは、状況によってシステム要件が変わり、システムの見直しや追加発注がつきまとう。だが現状、きめ細かなサポートは望めない。この電機メーカーは現在、中国全土で稼働する生産管理システムのサポートを中国の大手業者へ全面委託する流れにある。

 つまり、よく言われることだが、システムは稼働してからが勝負なのである。その意味では、いったん中国の日系企業のシステム構築を手掛けたら、ゆくゆくは何らかの形で中国に拠点をもつべきではないだろうか。独立資本として現地法人を立ち上げるか、現地企業と提携するかは別にして、顧客の近くにサポート拠点があるのが理想的だ。もともと中小ソフト会社は、きめ細かいサポートを売りにしているところが多い。そうした点を顧客から評価され、何十倍、何百倍の企業規模をもつ顧客に入り込んでいるケースも多い。中国でならば、その強みはさらに生かされるだろう。これは決して非現実的な理想論ではなく、昨年あたりから従業員数十人規模のソフト会社が、大連や上海のソフトウェアパークに進出し始めている。すでに先進的な企業は動いているのだ。次号では、そうした企業の状況をレポートしたい。
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