“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦
<“一技の長”を探る>2.ソフトクリエイト(下)
2003/04/14 20:43
週刊BCN 2003年04月14日vol.986掲載
「ソリューションプロダクト」で勝負
4月にマイクロソフトの.NET対応版の製品化に漕ぎ着けたばかり。昨年度(2003年3月期)の売り上げに占める「ec-ビーイング」の構成比率はまだわずか。しかし、今年度(04年3月期)の売上見込み70億円のうち最低でも約10%に相当する7-8億円を同製品で占める計画を立てる。粗利率では約20-30%に達する見込み。これにより、全社的な売上高は前年並みだが、利益率は改善する見通し。パソコン販売店時代は、純粋なハードウェアの販売が売り上げの中心を占めたものの、最近は、単純なハード販売をほぼすべて取りやめた。昨年度の売上高70億円のうち、ハード比率は依然として約半分を占める。だが、これらハードは、システム構築やネットワーク構築にともなう付属物であり、同社ではこれを「ソリューションプロダクト」と呼び、従来の純粋なハード販売とは区別する。
林勝社長は、「売り上げの主要部分を占めるネットワーク構築やソフトの受託開発は続けるものの、これからは特徴ある自社製品の品揃えを増やす」方針を示す。自社製品の拡販に向けた良い材料も揃ってきた。初期の販売代理店は、広告代理店などシステム分野に強くないチャネル(販路)が大半を占めたが、ここにきて、同業者であるシステム販社の取扱量が増えてきた。
大手システム販社が販売するケースも出てきており、たとえば「ec-ビーイング」の場合、製品そのものの価格は280万円にすぎないが、システム構築がともなうため、案件全体では商談規模が5000万円に膨らむこともある。システム販社を通じた太いチャネルを開拓することで、第2弾、第3弾の自社製品を売りやすくする環境を整える。
すでに、EIP(企業内ポータル)や第3世代携帯電話を使ったデータ通信ソフトなど、次の収益の柱となるソフト開発に着手した。後者では、自動車レースのF1の車両とNTTドコモのフォーマを組み合わせたデータ通信の実証実験を始めており、「今後の製品化を急ぐ」(モバイル通信担当の沢登成幸取締役)と、意気盛んだ。(安藤章司)
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