“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦
<“一技の長”を探る>1.ソフトクリエイト(上)
2003/04/07 20:43
週刊BCN 2003年04月07日vol.985掲載
小売りのノウハウをECに生かす
企業のIT投資に詳しいアクセンチュアの村山徹社長は、「戦争が長期化すれば、不安定要素が増える。だが、仮に戦争が起きなかったとしても、不況であることに変わりはない。問題は、顧客企業に対する営業のなかで、競合他社より秀でた提案ができるかどうかに尽きる。不況下でトップ1、2社が受ける打撃よりも、3番手、4番手が受ける打撃のほうが大きい」と分析する。2000年をピークに縮小傾向が止まらないパソコン市場でもそうだった。トップベンダーも販売台数は減らした。しかし、下位メーカーが受けた打撃よりははるかに小さい。同じことが企業の情報システム投資にもいえる。この局面を打開するには、トップを獲るしか方法はない。特定分野で優れた“技”に長じていれば、情勢を大きく変えられる。
ソフトクリエイト(林勝社長)は、20年前の1983年に東京・渋谷にパソコンショップを開いた。その後、パソコン市場の拡大にともない横浜、大宮(埼玉県)、八王子(東京都)、秋葉原(同)などに店舗を拡大すると同時に、法人向けのパソコン販売にも力を入れた。最盛期の96年には年商100億円を突破した。
しかし、大型小売店のパソコン進出および法人向けパソコンの大幅な価格下落と薄利化の直撃を受け、本業のパソコン販売ビジネスそのものが立ち行かなくなった。しばらくは、中堅・中小企業向けのシステム構築やネットワーク構築、ソフトウェアの受注など、取り立てて特徴のないビジネスでやり過ごしたものの、年商は下降線を描いた。
転機となったのは99年に立ち上げたEC(電子店舗)通販の「特価コム」だ。当時は、これまでの小売りの延長線上で開設したサイトだった。だが、林社長は、「現実の店舗では大資本に負けたものの、過去20年間蓄積してきた小売りのノウハウをECシステムに詰め込み、システムプロバイダ事業として立ち上げれば、先行他社を抜ける」と考るようになった。(安藤章司)
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