視点
中国の知的財産保護
2003/03/24 16:41
週刊BCN 2003年03月24日vol.983掲載
いま、中国でソフトウェアやコンテンツビジネスを展開しようとしている日本企業は多い。成功させるためには、どのような法律、商慣習、制度があり、さらに文化的、政治的な背景についても、事前に十分調査をする必要がある。とりわけ知的財産制度やその執行手続き、その執行状況は最も気になるところである。ACCSではかねてよりそのような調査をしたいと希望していたが、文化庁長官官房国際課の委託調査として実施が実現した。今回は第一段階として、以下の7つの点をとりあげることにした。
(1)コンピュータソフトウェアの中国本土における流通形態
(2)日本などのコンピュータソフトウェア企業の進出事例
(3)著作権登録手続き(および無効化手続き)の方法
(4)著作権の冒用登録の実態
(5)海賊版の流通・市場の現状
(6)中国における著作権関連団体の活動など
(7)中国における出版に関する規制
現地での調査は3月7日まで行われ、報告書は4月にまとまる予定である。中国では現在、日本のソフト、アニメ、漫画などの権利侵害が深刻なのは事実だが、改善するためには、知的財産を守るための教育、法制度、電子的保護技術がバランスよく機能しなければならない。中国は緒に就いたばかりであるが、その芽は息吹始めている。現在、中国の若者のヒーローは、毛沢東でも諸葛孔明でもなくビル・ゲイツ氏だそうだ。設立パーティでのスピーチでは、「中国のビル・ゲイツが出てくるためには、中国自身が自立的に知的財産権を守る体制を整える必要がある」と発言した。日本企業のコンテンツビジネスが安心して展開され、中国自身の優れたソフトウェアやコンテンツが創造されるためにも、ACCSは中国の知的財産保護の向上に協力を惜しまない。
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