ディザスタ・リカバリ指南

<ディザスタ・リカバリ指南 ~9・11からの教訓~>12 デスクトップPCのバックアップ

2003/03/24 16:04

週刊BCN 2003年03月24日vol.983掲載

 前回のサーバー側でのディザスタ・リカバリに続いて、今回はデスクトップパソコン(以下、デスクトップPC)のデータバックアップについて紹介する。社員がワープロや電子メールなどのために使っているデスクトップPCには、多種多様なビジネス文書のファイルや電子メールのデータ、顧客情報など、非常に重要な情報が無防備な状態で保存されている。

 ところが、多くの企業の情報システム部では、デスクトップPCのデータバックアップについては関心が低い。デスクトップPCに重要なデータが保存されていることには気がつきながらも、ここにメスを入れるとそのデータ管理業務に忙殺されることの心配が先に立つのであろうか。企業としての情報資産の保護と観点からは“臭いものに蓋をする”という訳にはいかない。デスクトップPCのデータの保護について検討するのは、現在の情報システム部の義務である。デスクトップPCのデータバックアップを運用していくには以下のような課題がある。

【課題1】大量なファイルのバックアップ
 デスクトップPCには、比較的サイズの小さな文書ファイルが多数保存されている。多数のファイルをバックアップしようとした場合、ファイルの読み出し処理に大きなオーバーヘッドが生じてしまい、バックアップ処理に非常に長い時間を要することになる。これを回避するにはファイルシステムを回避して、ディスクから直接データを読み出す方法が効果的である。

【課題2】利用中の文書のバックアップ実行
 デスクトップPCのデータをバックアップ対象とすると、問題になるのが使用中のファイルがバックアップできないということである。オープン中のファイルを確実にバックアップするためには、バックアップ処理中に対象ファイルに加えられたすべての変更を監視して、ファイルの整合性を管理する技術が必要である。

【課題3】ユーザーがバックアップのジョブを実行することは不可能
 「デスクトップPCのデータは定期的にバックアップをとりましょう」と社内に告知したとしても、すべてのユーザーが自主的にバックアップを行ってくれることを期待するのは現実的ではない。しっかりとデスクトップPCのデータのバックアップを行うためには、ユーザーに意識させることなく、ホスト側で自動的、集中的にバックアップを行う技術を導入することが必要となる。これらの課題については、コンピュータ・アソシエイツのデスクトップPC向けのバックアップソフトウェア「Bright Stor Mobile Backup」によって解決することができる。情報システム部としての業務量の増加やユーザーへのストレスを最小化するためにも、このようなツールの導入が必要である。(コンピュータ・アソシエイツ テクノロジー ディビジョン コンサルティングディレクター 宮下 毅)
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