元気印のインテグレータ

<元気印のインテグレータ>第36回 エイ・エヌ・テイ

2003/03/17 16:04

週刊BCN 2003年03月17日vol.982掲載

デジタル著作権管理が基盤

 エイ・エヌ・テイ(ANT、小川千之社長)は、マイクロソフトのデジタル著作権管理を基盤とした独自システムの販売に力を入れている。同社は、マイクロソフトとアスキーが1994年に共同で設立した「アスキー・ネットワーク・テクノロジー(アスキーNT)」が母体となり、その後、CSKが約72%出資して昨年7月、ANTに社名変更した。CSK以外には、マイクロソフトとNTTデータがそれぞれ約10%ずつ出資している。

 これまで、マイクロソフト製品でシステム構築をするシステムプロバイダ向けに技術者を派遣するサービスが、売り上げ全体の約3分の2を占めていた。今後は、デジタル著作権管理を基盤として、独自の販売体制をつくる。まずは、4、5人の専属チームをつくり、来年度(04年3月期)以降、本格的な売り上げを立てる。

 ANTは、ウィンドウズのアクティブディレクトリ(利用者管理システム)やデータベース、ストリーミング(映像配信)など、企業向けの主要製品に精通した技術サポートが収益の柱だ。

 しかし、2年後の05年3月期の売上高を、現在のおよそ3倍の30億円に増やす経営目標を実現するには、技術サポート以外の収益の柱が必要だ。「技術派遣だけでは限界がある」(北浦謙一・営業本部長)と話す。

 アスキーNT時代から、ウィンドウズを使ったストリーミング構築では業界トップクラスの実績を誇るため、当面は、今年5月に製品化予定のウィンドウズサーバー2003上で稼働する「ウィンドウズメディア9サービス」(映像配信用サーバーソフトの最新版)の販売に力を入れる。

 次の段階として、映像配信でカギとなるデジタル著作権管理技術を応用したビジネスを立ち上げる。北浦本部長は、「今年秋に発売予定の『オフィス11』は、コンテンツ管理が重要な要素となる。ワードやエクセルの文書1つずつに参照可否の認証ができるようになり、セキュリティ水準は大幅に高まる。こうしたデジタル著作権技術を基盤としたシステム構築の需要が高まるのは明らか」と指摘する。

 同社は今年2月、eラーニング分野での映像配信およびデジタル著作権技術でデルコンピュータと提携。ANTの技術とマイクロソフトの製品、デルのハードウェアを組み合わせたシステムを共同で販売する。両社は、オフィス11など次世代システムで必須となるデジタル著作権管理分野での提携も視野に、販売体制の強化を進めていく計画だ。
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