.NETのエッセンス
<.NETのエッセンス>第11回 マルチ・ランゲージのインパクト
2003/03/17 16:04
週刊BCN 2003年03月17日vol.982掲載
COBOLでウェブアプリを構築
マルチ・ランゲージ。用途に合わせてプログラミング言語を自由に選択できること。.NETフレームワークは、このマルチ・ランゲージ環境を提供してくれる。マイクロソフトは.NETフレームワーク対応のプログラミング言語を4つ提供している(C#、Visual Basic.NET、C++、J#)。そして、マイクロソフト以外のベンダーも.NETフレームワーク対応のプログラミング言語を提供している。富士通が提供する「NetCOBOL for .NET」もその1つ。
NetCOBOL for .NETを使えば、COBOLで.NETフレームワーク対応プログラムを作成できる。そう、COBOLでウェブサービスやウェブアプリケーションを作れるのだ。今回はこのNetCOBOL for .NETに注目してみよう。
COBOLに注目する理由は、その40年以上にわたる長い歴史にある。長い歴史の結果として、COBOLは数百万人の技術者とステップ数を数えることが不可能なほど多量のコードをもっている。
NetCOBOL for .NETを使うなら、メインフレームと同じ寿命しかもたないはずのCOBOL資産を、最新のウィンドウズ環境で活用できる。COBOL資産を活用すれば、システム構築のコストを大幅に削減できるだろう。
COBOLそのものにも優れた点は多い。古い言語なだけに開発標準が定まっており、開発者による品質や生産性のバラつきが少ないのだ。NetCOBOL for .NETは、Visual Studio.NETという優れた開発環境と.NET フレームワークが提供する豊富なクラスライブラリを利用できるので、ただのCOBOLよりもさらに生産性が良い。
NetCOBOL for .NETは、新規開発の場合でもコスト削減に貢献できるだろう。
では、これから先のシステムは全てCOBOLで作成すべきなのか?
いくら何でもそれは違う。例えば、COBOLではシステム的な処理が書きづらい。最新のプログラミング言語、例えばC#と比べると見劣りする部分も多い。
やはりその名(COmmon Business Oriented Language)が示す通り、COBOLには事務処理がふさわしいだろう。
例えば、システム処理をC++、GUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)をVisual Basic.NET、全体の制御をC#、複雑な計算部分をCOBOLなどという感じに使い分けていくべきだ。
最後に注意点を1つ。現バージョンのNetCOBOL for .NETは実行速度の点で少々難がある。高速化の余地はまだ残っているようなので、近い将来に実行速度は改善されるだろうが。首を長くして次バージョンを待つとしよう。
……もちろん、高速なコンピュータを用意するというチカラワザでも良いのだけれど。
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