e-Japan最前線

<e-Japan最前線>33.JETRASとNACCSの連携

2003/02/24 16:18

週刊BCN 2003年02月24日vol.979掲載

 経済産業省が所管する「貿易管理オープンネットワークシステム(JETRAS)」と、財務省所管の「通関情報処理システム(NACCS)」の連携運用が昨年11月からスタートした。「これまでNACCSだけを利用していた通関業者の方もJETRASを利用しようとID交付の申請が急速に増えている」(貿易経済協力局貿易管理課・田中義之情報システム調整官)。早くもシステム連携の効果が発揮されつつあるようだ。

輸出入業務、ペーパーレスへ

 行政手続きのオンライン化は、03年度から本格化する見通しだが、JETRASによる輸出入許可・承認の電子申請はすでに2000年4月からスタートしている。さらに、行政手続きの効率化という観点から、所管官庁をまたがってシステム連携が実現した。電子政府によって行政手続きのワンストップ化などの効率化が必要と指摘されるなかで、先駆的なプロジェクトと評価することができるだろう。

 輸出入許可・承認申請から通関までの手続きを電子化する検討は、97年から経済産業省でスタートした。紙ベースの手続きは、輸出入業者が外為法に基づく輸出入許可・承認申請書を経済産業省に提出し、審査を経て許可・承認証を受け取る。その許可・承認証を、通関業務を委託した通関業者に渡し、通関業者は貨物の受け渡しごとに通関数量などを許可・承認証に裏書して、税関に提出するーという流れとなる。

 99年から本格化したシステム開発では、まず輸出入業者からの電子申請に対応した部分から着手。同時に税関との連携に向けた話し合いをスタートした。「NACCSと連携するために財務省が所管する政省令や規定類のどの部分をどれくらい変更しなければならないのか、当初は全く見当もつかなかった」(田中氏)と言うように、法律などの規定に基づいて構築されたシステムは、機械的に接続するだけでは済まず、法律の方も変更してからでないと対応できないのが難しい点だ。

 00年4月に電子申請がスタートしたあと、システム連携に向けた作業も本格化。2年半後の02年11月に連携運用が実現した。システム連携の特徴は、これまで紙で輸出入業者に渡していた許可・承認証を経済産業省自らがデータベース化して保管・管理するようにした点だ。通関業者が紙に行っていた裏書登録は、経済産業省のJETRASにアクセスしてオンラインで書き込みを行い、許可・承認情報とこれらの裏書情報はJETRASから税関のNACCSに自動通知される。

 輸出入業者には、許可・承認番号の通知だけが行われ、その番号を通関業者に電話などで連絡するだけとなり、ペーパーレス化が図れる環境は整ったことになる。今後の課題は、システム利用をどのように促進していくか。輸出入許可・承認申請手続きは、共産圏への輸出規制があった時代には年間20万件に達していたが、その後の規制緩和で現在は年3万件まで減っている。

 しかしその分、動物保護のワシントン条約に関わるものなど難しい案件も多く、電子申請では対応が難しい事例もある。案件別に電子申請できるもの、できないものの分類整理作業もこれからだ。「電子申請では証拠書類の添付も認めているが、膨大な量の書類の場合、紙で持ち込んでくるケースも多い」という。また、申請書類と添付書類などをつき合わせながら審査を行う審査官の業務を効率化する必要もある。適正な添付書類のあり方も含めて、バックオフィスの効率化についても検討を進めていくことにしている。(ジャーナリスト 千葉利宏)

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