元気印のインテグレータ

<元気印のインテグレータ>第33回 大興電子通信(下)

2003/02/24 16:04

週刊BCN 2003年02月24日vol.979掲載

サムスンSDSのERPを販売

 大興電子通信(牧野誠毅社長)は、4月から韓国・サムスンSDSが開発した統合基幹業務システム(ERP)「ビジェントロ」を本格的に販売する。サムスンSDSは、ERP開発のSAP向け技術者約1000人を抱える大手システムプロバイダ。サムスングループの約50社にSAPのERPを納入・構築した実績がある。この実績を踏まえて、サムスンSDSが独自に開発したERPが「ビジェントロ」だ。国内では大興電子通信とトランス・コスモスなどが販売を受け持つ。

 サムスンSDSと大興電子通信は、01年12月に基本的な業務提携を結び、昨年7月にビジェントロの国内販売契約を交わした。その後、日本語化の作業と国内の法律に準拠するための修正を加え、この4月までに日本語版として完成させる予定。ビジェントロは、中国語版などほかのアジア諸国向けにも売り込みを始めており、今回の日本での販売開始は、サムスンSDSのアジア戦略の重要な柱の1つとなる。

 大興電子通信の営業本部副本部長兼ソリューションビジネス統括部長の山本泰久・取締役常務執行役員は、「当社は、00年4月からSAP R/3を導入した。ウィンドウズNT上に構築し、これまで不具合で停止したことはない。導入後は、月次決算やセグメント別の会計などがとてもスムーズにできるようになった。富士通のグロービアシーの販売実績も多い」と、ERP構築の実績を強調する。SAP R/3では幅広い業種で30社を超える構築事例をもつ。

 その上で、「中堅・中小企業向けのERP販売では、SAP R/3、グロービアシーともにシステム単価が高いのがネックになるケースが多い。今回のサムスンSDSのビジェントロは、同等機能でシステム全体がSAP R/3のおよそ半額で構築できる。しかも富士通のグロービアシーよりも安いのが魅力。普段、使わないような帳票類は一切なく、大半はエクセル形式で出力するなど効率性を重視したつくりになっている」と、ビジェントロの特性を話す。

 検証を兼ねて、すでにサムスン系の半導体商社で国内に拠点をもつ企業でビジェントロの構築を始めている。「システム構築を通じて感じるのは、ビジェントロがきわめてオープンなERPであり、動作も速くて軽いこと」だという。

 大興電子通信では、来年度(04年3月期)1年間で、ビジェントロを30セット販売する計画を立てる。システム単価は平均して5000万円前後で、およそ15億円の売り上げを見込む。(安藤章司)
  • 1