ディザスタ・リカバリ指南

<ディザスタ・リカバリ指南 ~9・11からの教訓~>8 資産の管理

2003/02/24 16:04

週刊BCN 2003年02月24日vol.979掲載

 これからのディザスタ・リカバリ対策の計画作業は、自社の現状に合わせてどのような対策が必要とされるか、どれくらいのコストを投資できるかといった条件に合わせて、最適なプロジェクト計画を作っていくことである。

 通常のアプリケーション開発のプロジェクトや、社内ネットワーク構築のプロジェクトと違って、現在稼働しているシステムや現状の業務への影響を最小化する配慮が求められる。

 ディザスタ・リカバリ対策の切り口としては、以下のものがあげられる。

(1)資産の管理
(2)状況の監視
(3)ディザスタの防止
(4)ディザスタ発生時の復旧

それぞれの切り口から
a.サーバーへの対策
b.ネットワークへの対策
c.データへの対策
d.デスクトップパソコンへの対策を現状評価と必要な対策を検討していくことで、もれなくチェックすることができる。

(1)資産の管理

 自社のIT資産がどこにどのように設置されているか、それを誰が所有しているか、それはどのような目的で使われているかを常に把握しておくことである。このようなIT資産の情報を把握しておくことは、災害への対策という目的だけでなく、通常業務のなかで、ソフトウェアのライセンス管理、IT設備の配置の最適化、資産の償却計算といった目的にも活用できる。9月11日の事件後、オフィスを別のところに開き、業務を素早く再開できた企業の例では、ツールを使ってその企業がデスクトップパソコンの資産管理をほぼリアルタイムで行っていたことが、素早い復旧の理由としてあげられている。

 この資産管理情報が、現地のオフィスにおいてだけでなく、本社のIT部門でも集中管理されていたので、オフィス全体が被災した場合でも、そのオフィスには、何台のパソコンがあって、どのようなアプリケーションがインストールされていたのかがデータベース化されており、その情報にもとづいて、代替のパソコンを準備することができた。次回からは、(2)状況の監視、(3)ディザスタの防止、(4)ディザスタ発生時の復旧について紹介していく。(コンピュータ・アソシエイツ テクノロジー ディビジョンコンサルティングディレクター 宮下 毅)
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