ディザスタ・リカバリ指南

<ディザスタ・リカバリ指南 ~9・11からの教訓~>7 「現状調査」と「プランニング」

2003/02/17 16:04

週刊BCN 2003年02月17日vol.978掲載

 今まで、自社にとってディザスタ・リカバリの方針や、そこへの投資計画を見極めるため、“リスクの洗い出しとインパクトの評価”という作業について説明してきた。ディザスタ・リカバリをITの視点のみで考えていると、その対策プランがどんなに優れたものであっても、いざ導入という段階になって「本当にこんな大げさなものが必要なのか?」、「もっと、先にやるべきことがあるのではないか?」といった疑問が出てくることは間違いない。これらの疑問に対して明快な回答をもっていなければ、その導入プロジェクトにゴー・サインが出ることはないだろう。

 そうならないためには、“リスクの洗い出しとインパクトの評価”というプロセスに経営トップや社内の各部門を巻き込んで、コンセンサスを得ながら進めていくことがとても重要である。今回からは、以前に紹介した「ディザスタ・リカバリ対策の手順」における“(2)現状の調査とディザスタ・リカバリ対策の計画”について、その進め方をみていこう。

 このフェーズには、大きく分けて、社内のITインフラに対して、現在どのようなディザスタ・リカバリ対策がとられているかという「現状調査」の作業と、今後どのような対策を追加、強化すべきか。そして、それをどのように構築・導入していくかという「プランニング」の作業がある。

 このフェーズの最後には、ディザスタ・リカバリ対策の“プロジェクト計画書”が作成されるのだが、そのプロジェクトが何年もかかるような大規模なものになるか、数か月で完了するようなものになるかは、今までにどのような対策がとられているか、それが適切に運用されているかによって変わってくる。

 ただし、投資効果を最大化するためには、その対策がすぐに陳腐化することがないよう、長期的な視点をもって構築・導入の計画を策定するべきである。このことは、プロジェクトに参画するメンバー構成においても考慮されるべきポイントである。ここまでの作業では、自社のビジネス戦略や環境などに対する深い理解や知識が重要であったが、すぐに陳腐化することのないディザスタ・リカバリ対策を計画するためには、技術的な本質を見極めて、自社にとって最適なソリューションを選択できるようなテクノロジーに関する深く幅広い知識が必要となってくる。(コンピュータ・アソシエイツ テクノロジー ディビジョン コンサルティングディレクター 宮下 毅)
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