視点

自然に成長するホームサーバー

2003/02/10 16:41

週刊BCN 2003年02月10日vol.977掲載

 「ホームサーバー」と名が付く製品は売れない―という。パソコン業界では、AV機能とハードディスク記録機能を備えたパソコンに「ホームサーバー」とネーミングし販売しているが、私に言わせれば、パソコンの付属機能として売っても、ホームサーバーは売れない。ホームサーバーはパソコンではなく、テレビに付くべきものである。なぜならば、テレビはこれまでも、そしてこれからも家庭のポータルデバイスであるからだ。今回のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー、1月9-12日、ラスベガス)は、そんなテレビセントリックのホームネットワーク像が雄弁に語られていた。

 では、あるべきホームサーバーとは何か。それは「トロイの馬」方式が最善のやり方ではないか。セットトップボックスを備えたら、いつの間にか、それはホームサーバーになっていた―という変身術が、最も現実的だ。なぜならば、ホームサーバーは御利益がなかなか見えない製品分野であるからだ。そこにコンテンツを溜めて、好きな時に再生して楽しむ機器だが、溜めてるだけでは便利とは言えない。いかに付加価値をつけるかが実は勝負になる。その付加価値としては、PVR機能、DVDプレーヤー機能、カード再生機能、無線LAN機能などが、挙げられる。

 さて、私の提案は、本来機能と付加機能の順番を逆にしたらどうか―ということだ。まず、手軽な機能の機器を普及させ、次の段階で、それにホームサーバー機能を加える、というもの。実際、このステップアップ作戦は、今、多くのメーカーが採用している。例えば、DVDプレーヤー。DVDプレーヤーは必ずテレビのそばに置かれる。そうであるならば、それはセットトップ・ボックスと見なせる。そこにさまざまな要素技術を加えることが可能だ。

 (1)プレーヤーが録画機に進歩し、それにハードディスクレコーダーを加える、(2)カード再生機能を加える、(3)PVR機能(電子番組表での録画)を加える、(4)それに無線LAN機能を付ける、(5)ブロードバンド接続機能を追加……と、初めは単純なDVDプレーヤーが、いつのまにか、立派なホームサーバーに進化していくのだ。「身近に、親しみやすく」がホームサーバー進化の鍵だ
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