.NETのエッセンス
<.NETのエッセンス>第6回 XMLウェブサービスの普及シナリオ
2003/02/10 16:04
週刊BCN 2003年02月10日vol.977掲載
ビジネスに参加する必要条件
XMLウェブサービスを今すぐ採用しなければならないのか? その質問に答えるために、XMLウェブサービスの普及シナリオを考察してみよう。日本ユニシスが考えるXMLウェブサービスの普及シナリオを以下に示す。
(1)企業内システムの統合(EAIでの利用)
(2)特定企業間垂直統合(EDI分野での利用)
(3)業界別UDDIの立ち上げが進むと同時に、商用XMLウェブサービスが出揃う
(4)不特定多数企業間のダイナミック連携
(1)「企業内システムの統合」では、企業内のアプリケーションを統合する安価な手段としてXMLウェブサービスを使用する。
ただし、現在のXMLウェブサービスでは、ワーク・フロー制御とトランザクション管理ができない。この機能は、BPEL4WS(Business Process Language for Web Services)とWS-Transactionで解決される。
(2)「特定企業間垂直統合」では、サプライ・チェーンを構成する企業間で、EDIより簡便な通信手段として用いられる。EDIのような専用線やウェブEDIのような人件費が不要である点がXMLウェブサービスのメリットである。
ただし、現在のXMLウェブサービスには、メッセージの到達を保証する機能がない。この機能はWS-Reliabilityで提供される。
(3)「業界別UDDIの立ち上げが進むと同時に、商用XMLウェブサービスが出揃う」では、業界内での標準的なWSDLが定義され、業界内の各社がそのWSDLに準じたXMLウェブサービスを提供する。
ただし、現在のXMLウェブサービスには、メッセージ・フローの制御やセキュリティが不足している。これらの機能は、WS-Routing/WS-ReferralやWS-Securityが提供する。
(4)「不特定多数企業間のダイナミック連携」では、ビジネスそのものが変わる。企業はXMLウェブサービスを使用してサービスを売るようになるだろう。
現在のフェーズは(1)-(2)である。先に進む障害となっているのは、上に挙げた技術的な課題なのか? 違う。上に書いたように技術的な解決の目処は立っているのだ。(3)に進めない本質的な理由は、ビジネス面にある。ビジネスの標準の作成には長い年月がかかるのだ。
しかし、悠長に構えているわけにはいかない。(3)の世界では、XMLウェブサービスに対応していることがビジネスに参加する必要条件となるのだ。
さて、あなたの業界はどんな感じですか? あなたが進歩的な業界に所属している場合は、③が来る前に今すぐXMLウェブサービス採用ですよ。
*EAI=企業システムの統合、EDI=電子データ交換
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