大航海時代
<大航海時代>第22篇●新しき勇者たちへ 第68話 その覚悟と決心ありや
2003/02/03 16:18
週刊BCN 2003年02月03日vol.976掲載
水野博之 広島県総合科学技術研究所 所長
2003年はどういう年になるのであろうか。いろいろの山場があるように思われるが、その第1は1月から2月にかけて起きるであろう。どうも米国はイラクの現政権を打倒するまで戦い抜くという決心をしたようで、武力をも辞さない考えのようだ。米国の情報を集める能力は、我々の想像を絶するもので、イラク政権内の会話は、必要に応じてすべて収集していると考えられる。そのすべてを発表しないのは、発表すると、被害者が出るからだ、と思われる。わずかな人間しか知るはずのない情報がどうして漏れたのか、ということになれば、自ずから米国に通じている人間が特定されてしまうからだ。
この点、米国はイラクの現政権の基盤は一見強固に見えるが、脆いものと確信しているようだ。ひとたび、その一角がこわれれば、容易に全体に及ぶと判断している。
「はたしてそうか」というのが、米国対イラク戦争の判断の基準となる。米国の判断のとおりであれば、イラク国内に反乱が起き、米国はたいした抵抗も受けずに、イラクを征圧できるに違いない。一方、選挙結果が示すように、現政権への大衆の支持が本物であれば、戦いは悲惨な状況になるだろう。1月から2月にかけて、世界はいま、かたずをのんでこの政局の行方を見守ることになる。
イラクは遠い国である。しかし、次に北朝鮮がある。米国は二面戦争は避けるであろうから、イラクが終わってから北朝鮮ということになるが、その時は日本はどうするのか。かつてない歴史的選択が我々に迫られることになる。いままで、他力本願で平和に安住してきた我々にとって、第二次世界大戦後初めて、自らが自らの努力と力で平和を勝ち取るべく強制されるときがやってくる。その覚悟と決心ありや。このあたりから新しい日本の行方がきまって行きそうである。(宝塚・中山寺にて)
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