WORLD TREND WATCH
<WORLD TREND WATCH>第140回 サンのチャネル戦略に新たな動き
2003/02/03 16:04
週刊BCN 2003年02月03日vol.976掲載
テック・データ、サンLinuxを販売
サン・マイクロシステムズはLinuxサーバー発売で数多くの販売チャネル企業獲得を目論んでいる。しかしドットコム企業ブームで大躍進したサンは、チャネル軽視でダイレクトセールス重視を続けてきたため、思ったほど新チャネルを獲得できていない。そこでこれからLinux商品販売を拡大したい、米国でイングラム・マイクロに次ぐ巨大ディストリビュータのテック・データがサンLinuxサーバー「LX50」取り扱いで手を挙げサンと契約した。テックの年商は172億ドル(2兆640億円)と巨額だ。テックのプロダクトマーケティング担当、ジョエ・セラ副社長は、「サンは当社を介してSMB(中小企業)へ大量のLinuxサーバーを販売できるようになる」と前置きして、今後サン販売施策について次のように語る。
「各種市場調査でもLinuxシェアが急拡大していることを示す。多くのわが社卸売り先のチャネル経営者もLinuxへの期待を語り、市場での地位もあがってきたのは間違いない。サンLX50はWintelサーバーよりはるかにコストパフォーマンスが高い。LX50は大企業のフロントエッジ向け、SMBのアプリケーションサーバーとして大きな需要がある。いずれにせよわが社はLinuxではハイエンドソリューションではなく大量販売だけを狙う。UNIXサーバー群市場でLinuxサーバー量販が期待できる」
多くの米VARやシステムインテグレータもこれまでダイレクト指向の強かったサンとの直接ビジネスは望まないが、サンブランドには強い魅力を感じている。そのためテックと契約してサンLinuxを販売できるようになったことを歓迎する。その1社、アーバン・コンサルティングのニコルス・エール社長は、「わが社はサンLinuxに多くのアプリケーションが開発されることを期待して、サンLXをテック経由で仕入れることにした。わが社はサンLXでファイルサーバーなどを狙うことは考えていない。UNIXにはSMBも使いたいウェブアプリケーションも多くあるが、UNIXソリューションは高価格だ。UNIXからLinuxへの移植は容易なので、LXには多数のアプリケーションが用意される。これをわが社は期待している」
これまでサンのローエンドSolarisサーバーはテックの競合者イングラムが卸売りをしてきた。このためテックはサンとのビジネスができなかったが、Linuxを皮切りにサンとの絆を太くしたいとテックは考えている。テックは既にサンに買収されたコバルトのLinuxサーバーアプライアンスも扱っていた。テックのセラ副社長は、「わが社がサン製品全体の卸売りをするかは決定していない。わが社はサン製品全体よりも、サンのすべてのLinux関連製品取り扱いを視野に入れている。われわれがLX販売に力を入れている間に、サンのデスクトップLinuxも発売されるだろう。これもわが社としては注目している」
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