WORLD TREND WATCH

<WORLD TREND WATCH>第139回 HP、サンともにITサービス強化

2003/01/27 16:04

週刊BCN 2003年01月27日vol.975掲載

競合のIBMを追随へ

 ヒューレット・パッカード(HP)はコンパック買収を契機に、サン・マイクロシステムズはマネジドサービスを中心に、それぞれITサービス強化を打ち出した。両社の最強競合となるIBMのサービス売上構成が45%(02年1―9月)と高いのに対し、サンは27%(02年6月)、HPは17%(02年10月)とこの構成比が低いのが理由だ。これからのIT市場牽引力は、サービスであるのは衆目の一致するところだ。

 データクエストによると、06年世界ITサービス市場は6000億ドル(72兆円)。マネジメントサービスだけでも2260億ドル(27兆円)と巨額に膨らむ。ハード利益率下落を支えるにはサービス以外の期待分野もない。サンは「自社ハードとマネージドサービスの組み合せを強化し、提供するユーザーITバリューの向上を狙う」と宣言した。

 このためサンは、ネットを介するIPベースサービスの強化に専念する。しかしサンは、IBMなどが注力するアウトソーシングには進出しないと、サンITサービス部門パトリシア・シュエル副社長は次のように述べた。「サンはこれまでアウトソーシングを手がけてこなかった。これからもサンはこの市場に参入することはない。わが社は顧客サイトでITサービスを強化するのが基本方針だ」。

 IDCアナリスト、ローリィ・シーモア氏は「サンのITサービスは混乱続きだった。サンはこれからのITサービス戦略を発表するよりも、現在ばらばら状態のサービス施策を整理することが優先課題だ」と論評した。HPサービス部門ジェルジェン・ロットラー副社長は「わが社の多くのエンタープライズ顧客は、コンパック買収でHPサービス力は各段に向上したと確信している」と前置きして、HPサービス戦略について次のように語る。

 「多くの当社顧客は既存IT資産のバリューを高めるために投資したがっている。このため軽装備ITの追加投資や、場合によってはアウトソーシングの併用も考えている。わが社は新システム追加を顧客に要請する前に、顧客の要望に対応することに全力を傾けたい」、「サン、HPはいずれもIBMが巨大サービス会社に転身したことで、再び業界リーダーに復活したことを十分意識している。ITサービス総合力、オン・デマンドという次代コンセプトを明確にしたIBMと、この分野でまともに競合して勝つのは極めて困難だということの認識は甘い」とIDCシーモア氏は論評して次のように続ける。

 「サンのサービス課題と同様にHPのサービス戦略も問題山積状態だ。HPサービスは百貨店のように何でもあることを誇示するが、真の強みがよくわからない。HPはまずサービスメニューの整理が必要で、見込みの少ない分野は撤退すべきだ」そして同氏はHPカーリー・フィオリーナ会長とIBMを復活させたIBMのルイス・ガースナー前会長の名を出して次のように語った。「HPはITサービス巨人IBMと競合できるよう事業業態を変化させようとしている。それにはガースナー前会長のような企業統治力が必要だ。しかしフィオリーナ会長が第2のガースナーになれるかは大いに疑問だ」

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