元気印のインテグレータ

<元気印のインテグレータ>第29回 ユニテック(下)

2003/01/27 16:04

週刊BCN 2003年01月27日vol.975掲載

ソフト会社の財産は"人材"

 年商14億円、経常利益1億6000万円(2003年2月期見込み)のユニテック(鈴木佐太郎社長)。静岡県の地元ソフト開発会社のなかでは、有数の営業力と業績を誇る。

 売上構成は、自治体など官公庁・公共団体の比率が45%、その他55%を製造・流通などを中心とした民需が占める。社員は約130人。今年4月には9人の新入社員を迎える。

 鈴木社長は、今から20年あまり前の34歳のときにユニテックを起業。以来、「50歳になったら引退して、若手に経営を譲る」と決めていた。だが、引退の「夢」は叶わず、今年9月で57歳になる。「ITバブルが弾け、今、私が引退したらどうなるか分からない」という不安から、第一線から退けないのだ。

 不安を払拭するため、01年には、経済産業省のシステムインテグレータ登録を果たし、今年3月を目途に品質管理システムを認証するための規格ISO9001を取得する。昨年4月には静岡銀行関連から経営に詳しい役員を迎え、株式公開を目指す。会社経営の基盤を整備することで、継続的・安定的に発展できる土台をつくる考え。

 鈴木社長は、「ソフト会社にとって唯一の財産は人材。株式公開など、会社の枠組みづくりに力を入れると同時に、人材育成は最優先課題として取り組む」と話す。その代表的な取り組みが、「顧問団制度」である。

 顧問団制度とは、弁護士、公認会計士、社会保険労務士、銀行役員、大手百貨店役員、地元タクシー会社社長などのキーマン16人と顧問契約を結び、毎月第1土曜日に、ユニテックの役員・管理職と会合を開くというものだ。もう15年も続けている。顧問のなかには、NTTデータの社外取締役やユニクロの監査役もいる。

 「月一回、当社の直近1か月と今後1か月の経営報告をしたのち、集まった顧問の先生方に30分ほどのミニ講演をしていただく。そのあと、質疑応答などの交流を通じて各業界動向を顧問から学ぶ。忙しいなか、毎回、平均10人ほどの顧問が集まる」という。

 顧問を交えて、実ビジネスにおける研修にも力を入れることで、役員・管理職のスキル向上を図る。ソフト開発の技術的な研修だけで十分な人材育成ができないからである。

 ユニテックの業績は、こうした地道な努力の積み重ねであり、今年も2月末に、夏と冬に続く“第三回目の賞与”として、全社員に給与約1か月分を支給する予定だ。(安藤章司)
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