WORLD TREND WATCH

<WORLD TREND WATCH>第138回 IBM、インテルサーバーが大幅増

2003/01/20 20:29

週刊BCN 2003年01月20日vol.974掲載

 IBMのインテルサーバー「XSeries」の担当ジェネラルマネジャー、スーサン・ホイットニー氏は、IBMインテルサーバーは2002年7月以降、異常な出荷金額の伸びを見せていると次のように実績を語る。「02年第3四半期、同サーバーの世界出荷は、前年同期比21%増で、とくに米国市場では33%増、米SMB(中小企業)市場では48%増というきわめて高い伸びを示し、03年もこの勢いは続く」

米中小企業で48%の伸び

 その理由についてホイットニー氏は、「IBMの製品は他社よりもスケーラビリティが高く8Wayに続いて16Wayサーバーまでの品揃えが完了した。既にIBMではXeonチップが主流で03年には32Wayまでのサーバーを投入できる。これでERP(経営資源利用計画)、CRM(顧客情報管理)など、ミッションクリティカルにも十分耐えるインテルサーバーを実証した」と語る。

 さらに同氏は、「IBMのインテルサーバーが競合他社を退けて伸びているのは、IBMが自社で培ってきたメインフレーム技術をインテルチップに移行し、さらにメインフレームのマーケティング手法を当分野にもち込んだからだ」と強調する。「これでSIerは従業員1000人以下の中堅企業に16WayのERPサーバーとして多数売り込んだ」と同氏は補足した。IBMチャネルのPCPCのジォェ・バウト社長は、「IBM XSeriesではLinuxベースの大型クラスターサーバーに人気があり、SIerとしてもこの利益率が最も高い」と前置きして次のように期待を語る。

 「ハイエンドLinuxでIBMが他社を圧倒するのは、同社が1番早くLinux市場へ参入し、多数の同社サーバー開発要員を投入し、マーケティングにも巨額10億ドル(1200億円)を投下したからだ。これからもハイエンドLinuxではIBMの独走が続く。経済不況も高いウィンドウズ代替のLinuxに追い風として吹き続ける。ユーザー経営者もIBMブランドとLinux性能の双方を高く信じている。自分は当社をIBM Linuxに賭ける覚悟だ」

 とくにIBMハイエンドLinuxはその価格からサンのローエンドSolarisサーバーを大きく浸食し始めた。「このためサンのチャネルもIBM Linux販売に積極的なことも同サーバー伸長の要因だ」とIDCアナリスト、ヨーク・ハナン氏は語る。ハナン氏はヒューレット・パッカード(HP)がコンパック買収で商品、販売戦略でつまづいたこともIBMビジネスを加速していると次のように解説した。

 「旧コンパックチャネルでシステム力の強いSIerは高価なハイエンドLinuxサーバーに活路を見いだした。LinuxソリューションはUNIXコストのたった25%で構築でき、しかも利益も大きい。しかるに新HPのLinux戦略は相変わらず不透明でチャネルに不安ばかり与えてしまった。HPのコンパック買収による混乱はIBM伸長に強く影響しただけでなく、青息吐息のサンも助けることになった。新HPは自社のUNIX商品をインテルとウィンドウズに移行させると発表したことも、HP、コンパックのUNIXユーザーを失望させた」(中野英嗣●文)
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