.NETのエッセンス

<.NETのエッセンス>第3回 プラットフォームに依存しない優れもの

2003/01/20 16:04

週刊BCN 2003年01月20日vol.974掲載

 豊富に提供されるまで、XMLウェブサービスは使えないのか? そんなことはない。現にいま私は、XMLウェブサービスを使うプログラムを書いている。というわけで、今回はXMLウェブサービスの使い方の現実編。

XMLウェブサービスの使い方(現実編)

 豊富に提供されるまで、XMLウェブサービスは使えないのか? そんなことはない。現にいま私は、XMLウェブサービスを使うプログラムを書いている。というわけで、今回はXMLウェブサービスの使い方の現実編。XMLウェブサービスは、プラットフォームに依存しない分散コンピューティングのインフラだと考えることができる。SOAP準拠のXMLはテキスト・エディタでも作れるし、HTTPはPDA(携帯情報端末)でもサポートしているのだから。

 どのようなプラットフォームでもつなげることが可能なXMLウェブサービスは、企業内のアプリケーション統合の道具として最適である。XMLウェブサービス以前、アプリケーション統合には高価なEAI(Enter prise Application Integration=企業システムの統合)ツールが必須だった。プラットフォームの違いを吸収する手段がほかになかったためである。XMLウェブサービスを用いるなら、プラットフォームを意識する必要はなくなる。アプリケーション統合の、ビジネス上のメリットは何か。企業の迅速な意思決定を可能にすることである。意思決定に必要なのは鮮度の高い情報であり、アプリケーション統合は、業務間でのリアルタイムな情報の流通を実現するのだ。

 話はまだ続く。XMLウェブサービスをアプリケーション統合の手段として使用すると、EAIによるアプリケーション統合を超えた世界が見えてくる。企業システムを、XMLウェブサービス・コンポーネントの集合と考えることが可能になるのだ。.NETやCOM、EJBなどのコンポーネントでアプリケーションを組み立てるように、XMLウェブサービスのコンポーネントで企業システムを組み立てることが可能な世界が実現するだろう。その結果として、企業全体のシステムでも、コンポーネント指向のメリットを享受することが可能になる。

 例えば、インターフェイスと実装が分離されることで、保守性が向上したり、並行開発が可能になったりする。例えば、再利用により、開発の生産性が向上する。具体的なビジネス上のメリットは何か。迅速かつ低コストに、企業全体のシステムを構築できるようになる。そして、合併があっても継続して使用できるくらい、企業システムの寿命が長くなるのである。夢物語に聞こえたかもしれない。しかし、これは現実編なのである。理想編で述べた世界がビジネスに与える影響は推して知るべし。いやぁ、すごい世界になっちゃいましたね。

日本ユニシス インテグレーションサービス部 .NETビジネスディベロップメント 尾島良司

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