.NETのエッセンス
<.NETのエッセンス>第1回 .NETはわかりづらい、その理由とは
2003/01/06 16:04
週刊BCN 2003年01月06日vol.972掲載
2つの意味を使い分けよ
どうも.NETはわかりづらい。WWW、カンファレンス、雑誌、書籍――。情報を集めれば集めるほど、混乱してくる。こう感じている人は多いだろう。なぜか。理由は簡単。.NETという用語そのものが混乱しているためだ。
.NETには、「XMLウェブサービスという新しいコンピューティング環境」と「.NET Frameworkという新しい開発環境」の2つの意味がある。しかしマイクロソフトは、どちらの場合でも単純に .NETと呼ぶ。混乱が発生するわけだ。
このことが、どれほどの混乱を招くのかを理解するために、XMLウェブサービスと .NET Frameworkについて簡単に述べよう。
XMLウェブサービスとは、XMLメッセージの交換によって、ネットワーク上の自律したアプリケーションを連携させる技術、またはそのアプリケーションを指す。UDDI(Universal Description, Discovery and Integ ration)でサービスを検索し、WSDL(Web Services Description Langu age)でサービスの内容を調べ、SOAPでXMLメッセージを送る。
XMLウェブサービスを使用すれば、インターネットを介してBtoB連携を実現したり、イントラネットを介してアプリケーション統合を実現したりすることが可能になる。
.NET Frameworkとは、Javaに対抗するためにマイクロソフトが作成した開発環境である。仮想マシン(CLR=Common Language Runtime)と共通の型(CTS=Common Type Specification)と共通のクラス・ライブラリ(CLS=Common Language Specification)で構成される。
.NET Frameworkを使用すれば、COBOLからVisual Basicのルーチンを呼び出したり、生産性の高いクラス・ライブラリを利用して、アプリケーションを簡単に開発したりすることが可能になる。
これほど異なるものに対して、同じ .NETという用語を使用しているのだから、混乱が起こるのは当たり前の話であろう。
さて、混乱を避けるためにはどうすれば良いのか。.NETについて読んだり聞いたりする際に、XMLウェブサービスと .NET Frameworkのどちらの話なのかを明確に意識すればよい。
つまるところ、.NETはマーケティング用語なのだ。マーケティング用語に技術的な意味を求めるのは無理がある。昔流行ったニューロでファジーな洗濯機と同じですな。
日本ユニシス インテグレーションサービス部 .NETビジネスディベロップメント 尾島良司
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