視点
欧米金融機関の最先端IT事情
2002/12/16 16:41
週刊BCN 2002年12月16日vol.970掲載
第二は、STP(Straight Thru Processing)化への動きである。証券業界などを中心に資金や事務処理の効率化・コストダウン効果が大きいSTPついてはアメリカ、ヨーロッパとも早期導入に極めて熱心である。一方、STPと共にわが国でも大きく話題になったT+1については、費用対効果の面から、それほど急ぐ必要はないという意見が多かったことも見逃してはならない点であろう。
第三は、セキュリティとリスクマネジメントへの体制強化である。昨年9月11日、私は社会経済生産性本部のIT視察団長としてあの時間に現場すぐ近くにいた。欧米ではそれ以降の1年間でのセキュリティやディザスタ・リカバリー、ビジネス・コンティニュイティ・プラン(BCP)などへの対応策の進展にはまさに目を見張るような変化が起きている。
BCP業界最大手のEMCによれば、全データのうち80%がミッション・クリティカルのデータであり、15%がその関連データで、多少遅れてのバックアップでよいものはわずか5%に過ぎないという。とくに最近の技術の発達によって、遠隔地間におけるリプリケーションやリモート・ミラーリングの技術が高度化し、複数のバックアップ・センター間におけるBCPが至るところで動き始めている。米連邦準備理事会などは、全金融機関に対し緊急白書を発表し、リアルタイムバックアップのためのアクティブ・オン・アクティブモデルの早期実現を要請したのはその1例といえよう(今回の詳細な報告書については、「JISA会報」(03年1月刊)をご参照いただければ幸いである)。
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