元気印のインテグレータ
<元気印のインテグレータ>第22回 アクセンチュア(下)
2002/12/02 16:04
週刊BCN 2002年12月02日vol.968掲載
国内の受託比率を3割増へ
アクセンチュアは、ゲインシェアリング(利益折半)やリスクシェアリング(損失折半)を原則に“第3世代”のアウトソーシングの契約形態を推進する。第1世代は、ハードやソフトを1か所に集め、規模の経済の論理でコスト削減を図った。第2世代では、ハードやネットワークなどインフラ的な部分からERP(統合基幹業務システム)やCRM(顧客情報管理システム)など、より上位に位置するアプリケーション層のサービス販売にまで対象範囲を広げた。
第3世代では、これをさらに発展させ、顧客のシステムの“運用”を通じて、新しい利益を出す仕組みをつくることだとアクセンチュアでは定義する。典型事例として、今年初め、米アクセンチュアがAT&Tコンシューマーから受託した5年間で25億ドル(約3100億円)の「コ・ソーシング形式」のアウトソーシングがある。
受託分野は「売り上げ拡大」と「顧客サービス業務の改善」。コ・ソーシングとは「協業アウトソーシング」のことで、売り上げと顧客満足度が目標を上回れば、AT&Tと利益を折半し、逆に目標を下回った場合は、その損失をシェアする。顧客企業からみれば、サービス目標が明確にコミット(確約)される。
単純化すれば、100円の価値を創造することを確約したうえで、50円の経費を支払うようなもの。つまり、初めから50円分の利益を保証されたことになる。
大上二三雄・コーポレート・ディベロップメント担当パートナーは、「国内でも、発展段階の契約も含め、大手を中心に8社から受託。今後は、サービスレベルをコミットし、顧客企業とゲインとリスクをシェアすることで、アウトソーシングの一層の効率化を促進する」と話す。
前回の「上」で紹介した岐阜県の事例のように、システムプロバイダと組むなどして、年間3、4社ずつ、基幹系アプリケーションを中心としたアウトソーシング案件を増やす。
「システムプロバイダとは、コンペティション(競合)とコ・オペレーション(協業)とを融合した“コ・ペティション関係”の下で、ともに価値を創造する」方針。
米アクセンチュアは昨年度(2002年8月期)売上高115億ドル(約1兆3800億円)のうち3割近くをアウトソーシングが占めているのに対し、国内では売上421億円のうち5%程度。「3-4年後には、国内のアウトソーシングの売上比率を3割に増やす」計画で臨む。(安藤章司)
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