視点
ネットワーク社会の討論は続く
2002/11/25 16:41
週刊BCN 2002年11月25日vol.967掲載
これらGBDeの主張を、過去1年間世界各地のセミナーで参加企業の役員レベルにより計54回ものアピールの機会を得た。その成果として、ISPが有害情報を取り下げた場合のノーティス&テイクダウンおよびISPの免責方式は各国の法制の中に取り入れられたし、トラストマークの提唱はGTA(グローバルトラストマークアライアンス)の発足として実りつつある。
ブラッセル提言でも、通信放送のコンバージェンスにおける周波数スペクトラムの商業的利用割当増と世界的調和等枚挙に暇がない。また今年はデジタルデバイドにおけるWEF/GIICとの共同声明も際立つ。このような活動もあり、ブラッセルの総会2日目に10か国政府(日米欧他)からGBDe支援の共同声明が発表された。政府への3年間に渡る要望を通じて、公式に激励を受けたのは初めてである。
こうしてGBDeの活動も5年目を迎えるが、大きな流れの変化を感じざるを得ない。ITバブルの崩壊により、この1年でGBDeは多くのリーダー達を失った。ビベンディのジャン・マリエメシエ氏、ベルテルスマンのトーマス・ミッドルホフ氏、ベルカナダのジャン・モンティ氏、いずれも個性に溢れた有能なリーダーであった。今年の総会では新しいリーダーが多く加わり、同じ目的をもって討議を続けているのは、不思議な気持ちである。
次にアメリカの風潮が一大変化をしている。過去米国はネットワーク社会の建設にあたりミニマム規制を主張し続け、欧州と対立することもしばしばであったが、9・11の影響で今年はむしろ規制を歓迎する、新しい規制もやむなしという主張に変わった。これは今後の世界のネットワーク社会の政策/法制に大きな影を落とすことになる。21世紀のネットワーク社会がどのようになるかわからないが、政府、民間、消費者等各界から、テロ、戦争、不況、腐敗等、その時々の社会的現象を通じて提言が行なわれる。大切なことは討議を続けることである。
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