e-Japan最前線
<e-Japan最前線>21.CIO会議がスタート
2002/11/25 16:18
週刊BCN 2002年11月25日vol.967掲載
バックオフィス改革をめざす
電子政府では、現在約5万種類ある行政手続きを、対面による処理が必要なもの等を除いて原則として全てオンライン化することが当面の目標だ。開催中の臨時国会で総務省が提出しているオンライン化3法案が成立すれば、法的基盤も整って一気に動き出す。CIO会議では、本格的なオンライン化サービスの開始を前に、具体的なサービス内容のレベルアップを検討するほか、「単なる電子化ではなく、IT化に対応して業務改革に幅広く取り組む」(内閣官房IT担当室・関啓一郎参事官)ことになった。行政手続きオンライン化の最大の目的は、利用者の利便性向上。申請書類が電子化されても添付書類をあとから郵送または持参するのでは意味がない。できれば添付書類もできるだけ廃止して手続きの簡素化や合理化も必要だし、これまで複数の窓口に届け出ていた手続きもワンストップ化(一元化)が望まれる。「ある民間会社評価では、02年度電子政府進ちょく度調査で日本は23か国中17位だったが、ポータルサイトの強化やよく使われる手続きの電子化がスタートすることで、もっと上位となるだろう」(関参事官)と予想している。
IT化に対応した業務改革では、人事、給与など各省庁に共通する業務を統一システムで運用できるようなバックオフィス改革をめざす。米国では、標準的なパッケージソフトに人間の方がやり方を合わせてしまうのが一般的だが、日本人は自分たちのやり方に合わせてオーダーメイドでシステムを作ってしまう傾向が強い。費用もかかるし、バージョンアップも大変になってしまう。パッケージソフトが利用できれば、情報システムのコストも大幅に削減できるし、開発期間も短縮できる。
電子政府の構築では、各省庁で同じようなシステムをバラバラにつくっているとの指摘もある。これまでも無駄を省く努力は行ってきたが、もう一段の効率化を進める必要がある。すでに、一部のシステムでは省庁の分担を決めて開発を行う方式が採用されてきた。公共工事の入札システムは国土交通省、工事以外の物品調達システムは郵政事業庁、オンライン手続きの汎用受付システムは経済産業省、総務省、国土交通省の3省で開発。それを他の省庁が利用することで重複投資を避ける工夫も行われている。
しかし、自民党政務調査会から政府に対する「申し入れ」でも、電子政府の予算に関して各省庁での重複を排除して効率化を図ることが指摘されたほか、財務省と総務省行政管理局からも来年度の予算編成に当たって各省庁に二重投資を省くことが厳しく求められているという。CIO会議では、今後の検討結果を踏まえて来年6月をメドに各府省電子政府構築計画(仮称)を取りまとめる計画だ。これまで各省庁では行政情報化推進計画を策定して電子化に取り組んできたが、今年度末でちょうど期限が切れるため計画を抜本的に見直す。電子政府の利便性を、国民がより具体的にイメージできるような計画を示していくことが必要だろう。(ジャーナリスト 千葉利宏)
- 1