WORLD TREND WATCH
<WORLD TREND WATCH>第131回 チャネル集めに苦労
2002/11/25 16:04
週刊BCN 2002年11月25日vol.967掲載
サンのLinuxプロジェクト
サンのスコット・マクネリーCEOは02年10月米アナリスト会議で、「これまで販売チャネル整備に力を入れずに、自社ダイレクトセールス力の強化に専念してきた。これは大きな誤りであった」と前置きし、次のように述べた。「私はチャネル経営者がサンを避け、これまでのマクネリー戦略は大ミステークであると言うのではないかと懸念している。自分で考えても97年からのドットコムブーム時に、あまりにも多くの自社セールスマンを集め、チャネルを軽視してきたことを反省している。またIT不況に突入すると、サンの株価はウォールストリートで迷走してしまって下落ムードを続けたために、自社売上高を維持するために、このダイレクトセールス重視を続けてしまった。自分は同じ誤りを2度繰り返したことを深く反省している。この経験を踏まえ、3度目の失敗を犯さないためにもサンは、ダイレクトセールス重点からチャネル最重視へと戦略の舵切り直しをしている」
そこで同CEOは、「新しく発表したLinuxサーバーLX50販売はチャネル重視でマーケティングを開始した。このためサンはLinuxソリューション販売のため新しいパートナープログラムiForceにチャネルを結集したい」とLinux戦略を語った。そのため、10月中旬まず米国でこの「新iForceプログラム」を発表して、Linux販売のためのチャネル募集を開始した。サンはこれまで世界市場で5000社のソリューション・プロバイダを含む2万のSolarisサーバー販売会社と契約している。これらの中から、あるいは全く新規にサンはLinux販売iForce会員募集を米国で開始した。
サンの「グローバルiForceマーケティング」責任者、チェリル・ケーリー女史は、「サンはLX50Linuxサーバーの量販市場だけのチャネルをまず募る。とくにLinux販売、サポート経験豊かなSIerが集まってくれることを願っている。一番期待したいのはこれまでウィンドウズサーバー市場で活躍しながら、Linuxにも熟知しているSIerで、本格的にLinux市場に参入したいSIerで、このような参加者を望む」とサンの胸のうちを語る。しかしマクネリーCEOの懸念通り、多くの米有力SIerはサンの誘いに乗ろうとはしない。
「これまでのサンのチャネル戦略に不信を抱くのと、売上高が低迷してNASDAQ市場で2-3ドル台で低迷するサン株価によって、サンの先行きに不安をもつSIer経営者は多いからだ」と、あるウォールストリートの証券アナリストは語る。もちろんサンのプログラムに積極的に参加したSIerもある。その1社、ボストンコンピュータのジョン・ハワード会長は、「わが社はサンLX50に大きな期待をもっている。サンは商用UNIX市場のSolarisで成功したノウハウをもっている。LinuxもUNIXであり、サンのUNIX戦略はLinux市場でも有効であるので、LX50は大ヒットすることを期待している」と語る。
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