視点
NTTドコモの責任
2002/11/18 16:41
週刊BCN 2002年11月18日vol.966掲載
NTTドコモは10月7日、2003年3月期の中間連結決算(4-9月期の決算)を発表した。売上高は2兆3843億円で、営業利益は6400億円なのだが、3096億円という巨額の株式評価損を計上したために、純益は42億円と前年同期の20分の1以下であった。ちなみに、2002年3月期連結決算は、売上高が前期比10.4%増の5兆1715億円、営業利益が同29.0%増の1兆28億円であったが、やはり8128億円という巨額の株式評価損を計上したため、最終的に純益はわずか8億円にとどまっている。
かつてNTTドコモは、iモードサービスで儲かったお金の一部を海外の通信企業に投資するという戦略を採用した。日本でヒットしたiモードサービスを海外でも展開し、さらには第三世代携帯電話で同じ技術を採用する企業を増やすためである。投資先は、米国のAT&Tワイヤレス、オランダのKPNモバイル、英国のハッチンソン3GUKなどである。決算で計上される株式評価損は、これらの海外投資先企業の株価が暴落したために発生したものである。
計上された評価損を合計すると、約1兆1000億円になる。もし、この消えてしまった1兆1000億円をNTTドコモのiモード利用者に還元していたとすれば、利用者一人当たり約3万円になる。もし、株主に特別配当として配分していれば、その増配分は一株あたり2万円強になる。消えてしまったお金の総額は、なんと日本の国内総生産(GDP)の0.2%以上に相当するのである。低迷する日本経済の足を引っ張っていると言ってもおかしくない金額である。NTTドコモは役員報酬を10-20%減額すると発表しているが、本当にこれで責任を取ったことになるのだろうか。
- 1