視点
携帯電子カルテ
2002/11/11 16:41
週刊BCN 2002年11月11日vol.965掲載
文字、画像、音楽などさまざまな情報のやり取りだけでなく、現金やカードの変わりに使うことまでOKということで、今や携帯電話全盛の時代である。そうなると、この携帯電話を今、使っているのは間違いなく本人であるという確認、個人認証の仕組みがぜひ必要になってくる。例えば、携帯電子カルテといった個人の体にかかわる各種の情報を一元的に管理して、いつ、どんな場所でも利用できるようにするといったサービスが始まる。
個人や検査情報は、ネットワーク上のいろいろな場所に分散されて、ジグソーパズルのひとつの断片を盗んでも全体の内容は判らないように配慮されている。専門医や主治医、トレーナーなどがこれらの情報を参照する場合は、指紋認証カードシステムが採用される。個人は、自分のプライベートな情報の管理を情報銀行にまかせる代わりに、その情報をより便利に、安全に、必要なときに使えるというメリットを享受することになる。
このような端末はといえば、利便性の面では、当然携帯電話がぴったりくる。「DEME CAL」という新しい在宅血液検査サービスでは、自宅採血後、郵送し2日で個人の携帯電話に結果が戻ってくる。これらの結果は生涯にわたって管理委託することができ、いつでも蓄積した結果を引き出すことができる。また、蓄積されたデータを元に病症予測や生活指導、サプリメント・運動レシピ作成などのさまざまな健康関連サービスが提供される。将来は、医療電子カルテなどとも結びついた総合的なサービスに発展することが期待される。
こういった個人情報を利便性高く使うためのセキュリティが、これからの携帯電話にはぜひとも必要である。携帯電話も若年層には既に行き届き飽和状態となっている。これからの中高年層、シルバーマーケット開拓には健康関連サービスが大きなウエイトを占めるだろう。指紋認証、音声認証、画像認証など手段はいろいろとある。個人が安心して重要情報やプライベート情報の管理を委託し、利用できるセキュリティ携帯電話の開発が早急に望まれる。
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