変わるかシステム入札
<変わるかシステム入札 第二章>国土交通省、入札実体を公表
2002/11/11 16:18
週刊BCN 2002年11月11日vol.965掲載
進まない情報公開
情報システムの入札について取材を進めていると、建築/土木の入札制度との比較をされる場面が時々出てくる。国土交通省の入札問題は、大きく社会問題として取り上げられるなど注目度が高く、予算規模も大きいことから、情報システムの入札と比較対照される場面も少なくない。
「国土交通省の実施した入札のなかで問題とされている事例のなかでも、情報システムよりは進んでいるといえるものもある。例えば、情報システムの設計業者と施工業者を分離すべきという指摘は、最近になって行われるようになったが、建築/土木の入札ではすでに当たり前になっていることだ」(ヤスクリエイト・安延申社長)
また、建築/土木の入札が大きく問題となったことで、それ以外の官公庁/地方自治体の入札についても、透明性を高めていくことが当たり前とされるようになった。これは情報システムの入札においてプラス効果だ。
しかし、最初にあげた通り、指針とされた部分については依然変わらない部分もある。
例えば、「電子入札の導入等の推進」として電子入札システムを導入している割合は、国で10.5%、特殊法人は0%、地方公共団体では0.1%にとどまっている。実証実験を行っているところも全体で0.4%と割合が低い。
国土交通省では、「電子入札は、事務の簡素化や入札に係る費用の低減が図られるとともに、入札公告等の情報をインターネットで公表することにより、競争参加資格者が公共工事の入札に参加しやすくなり、競争性の一層の向上に資するものであることから、各省各庁においては、e-Japan推進重点計画等も踏まえて電子入札の導入を進めるとともに、特殊法人等においても可能な限りその導入に努められたい」とコメントを出しているものの、実体としてはなかなか進んでいない。
入札公告などの公表については、国や都道府県レベルでは割合が高いものの、市区町村レベルとなると極端に割合が低くなってくる。
今後、この割合がどのように変わっていくのかが、日本における入札制度の変革を示すひとつの指針となってくるといえるのではないか。(三浦優子)
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