開眼できるか! 中小IT化ビジネス
<開眼できるか! 中小IT化ビジネス>11.市場開拓に乗り出す複写機メーカー
2002/11/11 16:04
週刊BCN 2002年11月11日vol.965掲載
ビジネスを営む企業で、複写機と縁のないところは少ないはずだ。電話と並んで必須のオフィス機器となっている。その意味では、複写機メーカーは幅広い中小企業と接触できる。
例えばリコーは、中小企業を中心に100万社との間に掛売り口座をもつ。公共料金系を除けば、国内でこれだけの取引口座を運用している企業はない。
それだけ取引先へ販売を仕掛ける営業体制、保守サービス体制、そして何より与信を管理し、債券を回収する仕組みが整っている。一般のITベンダーが同じ仕組みを整えるのは不可能に近い。
その点で、複写機メーカーは中小企業のITマーケットでキープレーヤーになる可能性を秘めている。複写機メーカー自身も機械の箱売りから、ネットワークを絡めたソリューション営業へのシフトを図っている。
実際、リコーは不況下でも好調な業績を維持し、勝ち組企業に数えられる。目立ちはしないが、中小企業のITニーズをこまめにフォローしているからだろう。
そして、リコーと並ぶ複写機メーカーの雄、富士ゼロックスも中小企業のITマーケットへの接触を強化し出した。
10月に発表したインターネット環境提供サービス「Beat」がその販売戦略を具現化したものだ。
月額2万円弱の料金で、独自のセキュリティ機能を装備したインターネットサーバーや、その運用管理を全面的に提供する。オプションで広帯域回線導入も支援する。
確かに、この種のサービスは決して珍しいものではなく、過去にも挑戦して失敗したケースが少なくない。だが、前述した通り複写機メーカーは膨大な顧客ベースと販売基盤がある。
例えば、「Beat」導入を検討するある税理士事務所は、「複写機のリプレースの際、電子申告に備えたインターネット導入をゼロックスの営業マンに相談したところ、Beatの提案を受けた」と話す。
複写機という絶対的な商材で顧客ベースを持つ複写機メーカーの力は侮れない。
- 1