WORLD TREND WATCH

<WORLD TREND WATCH>第128回 Linuxだけが伸びる

2002/11/04 16:04

週刊BCN 2002年11月04日vol.964掲載

 データクエストは、米経済低迷もあって、多くのインテルIA-32サーバーの米ユーザーはウィンドウズNT4.0に満足し切って、なかなかアップグレードする気になっていないという。02年2Q(4-6月)の米IAサーバー市場は前年同期比台数は伸びているものの、価格デフレも激しいため、金額ベースは横ばいだ。同期米IA-32サーバー出荷台数は43万3000台、金額は17億ドルとデータクエストは発表している。単価は3926ドル(49万円)で、単価は前年同期比で23%も安くなっている。

IAサーバーと米国市場

 台数では1位HP(コンパック合算、以下同)12万5000台(シェア28.9%)、2位デル11万6000台(同26.8%)、3位IBM4万6000台(同10.6%)の順位だが、間もなくトップはHPからデルに移るとデータクエストは予測する。さて、同期間米IA-32サーバー出荷台数は約2万台増であったが、これのほとんどがLinuxサーバーだったことが判明した。LinuxベースIA-32サーバーの出荷金額は前年同期比29.4%増で、台数は前年の4万600台から48.9%も伸びて6万453台とデータクエストは発表している。

 Linuxサーバー単価は3639ドルで全IAサーバー平均単価より約7%安い。これはウィンドウズOSライセンス料の差といえる。Linuxサーバー金額シェアは1位デル5920万ドル、2位HP5860万ドル、3位IBM4200万ドルとなっている。台数では1位HP1万6303台、2位デル1万5636台で3位IBM8315台が続く。こうしてみると、IA-32サーバー全体の14%がLinuxベースとなっている。IBMはメインフレームではMIPSベースで既に20%がLinuxであると発表し、超大型Linuxサーバーでは第2位デルを金額で大きく引き離している。

 デルはとくにIA-32サーバーの400台以上のLinuxクラスター開発に注力しており、既にシカゴ大学、ペンシルバニア大学などに納入し、更にウォールストリート金融機関から30台セット近い大型Linuxクラスターを受注していることを発表している。IBMはLinuxリーダーとしてIA-32/64のLinuxでもトップの座を奪回する意気込みを見せる。その目玉はEXA(エンタープライズXアーキテクチャ)で、その大部分をLinuxバンドルで出荷すると説明している。

 IBMは当アーキテクチャの高額サーバーのチャネルプログラム「EXAact」をわが国を含めて発表している。IBM当プログラム参加のシステムインテグレータ(SIer)の大部分はLinux SIerだという。わが国ではLinux開発のテンアートニーをもつ大塚商会がその代表だ。IBM EXAサーバーでは16-32Wayと大規模構成が可能で、このクラスタリングによってデルの大型Linuxサーバーに対抗するとIBMは説明し、LinuxインテルサーバーでデルとIBMの競合が激化している。(中野英嗣●文)
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