元気印のインテグレータ
<元気印のインテグレータ>第18回 日本電子計算
2002/11/04 16:04
週刊BCN 2002年11月04日vol.964掲載
合併に向けた受注狙う
日本電子計算が、電子自治体の受注に力を入れている。同社はもともと自治体市場に強く、東名阪の大都市圏を中心に約90団体の基幹系システムを請け負う。
昨年度(02年3月期)の売上高438億円の約3割弱を自治体関連が占めた。
公共システム事業部長・室直之取締役は、「電子自治体の受注がピークに達する04年、05年には、自治体関連の売り上げについて現在の3割増を目指す」と鼻息が荒い。
だが、電子化に向けた自治体の反応には、「非常に大きな温度差がある」という。目下の自治体の関心事は「e-Japan計画に基づく電子化」ではなく、「市町村合併」にあるからだ。
「市町村合併の支援金が出るのは05年3月31日までと限られている。そのため、自治体の関心事はどうしても合併に流れる。一方、電子自治体は合併の影に隠れがち。われわれとしては、合併と電子化はセットで考えるべきと提案している」と話す。
今年10月10日時点で、合併に向けた協議会(法定協議会)は全国に129か所ある。任意の協議会を含めると、設置数はさらに多い。
政府は、現在3300ある自治体を1000に減らす方針を打ち出しており、この目標に向けた合併の話し合いが続いている。
室取締役は、「合併の話が進んでいる市町村では、電子自治体の立ち上げ時期を決めにくい。相手があることで、電子化を担当する事務レベルでは身動きが取れないからだ。仮に、合併交渉が期限ギリギリまでもつれ込んだ場合、結果的に電子自治体に向けたシステム構築の時間がなくなり、突貫工事になることも考えられる」と懸念を示す。
市町村合併は、メインフレームなど旧式のシステムをウェブを基盤とした新しいシステムに刷新する絶好の機会だ。合併交渉が長引き、古いシステムを残したままでは、電子自治体の実現はきわめて難しくなる。
「自治体のなかには、『05年を目標としている電子自治体は、少しばかり遅れてもいい』という考えがある一方で、早々と合併を決めて、先進的なシステムを素早く導入する自治体もあるなど、落差は拡がる傾向にある」という。
合併と電子化が、05年に向けて、余裕をもって進行するのが理想型だ。しかし実際には、合併協議の長期化や物別れに終わるケースも少なくないなど、自治体の電子化を遅らせる要因になっている。(安藤章司)
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