開眼できるか! 中小IT化ビジネス

<開眼できるか! 中小IT化ビジネス>10.パソコン減税が復活?

2002/11/04 16:04

週刊BCN 2002年11月04日vol.964掲載

 前号までは、中小企業のITニーズについて触れてきたが、そのITニーズを顕在化させる大きな要素が登場してきた。ずばり税制改正である。

 12月中旬、2003年度税制改正の大綱が発表される。政府はデフレ対策として、2兆円規模の企業向け減税措置を盛り込んでくる見通しだ。当初は、法人税率の引き下げが本命だったが、最近では政策減税として「IT投資減税」を押す声が強い。

 景気環境が厳しい現在、赤字企業が圧倒的に多い(中小企業では7割以上)。法人税率をいくら引き下げても赤字企業に恩恵はない。そこで幅広い企業が利用できる減税策として、政府はIT投資減税に注目している。

 e-Japan構想の下、行政と家庭のIT化は進んでいるが、民間(特に中小企業)は立ち遅れている。一方、企業のIT投資は00年度、民間設備投資の24%を占め、他産業への波及効果を含め39兆円の需要があった。IT投資を促す減税ならば、「e-Japan構想の推進」、「需要不足の解消」と重要な政策課題と合致する。

 IT投資減税としては、99年度、00年度に実施した「パソコン減税」がある。100万円未満のIT機器を購入した場合、全額をその年度で償却できる制度で、恩恵を受けたIT企業も少なくなかった。今でも制度の復活を望む声は強い(現行の「投資促進税制」はIT投資に関して、初年度に30%の特別償却を認めているが、需要喚起の効力は弱いと指摘される)。

 では、03年度からIT投資減税が実施されるとして、どのような内容になるのか。ある税理士は、「投資促進の意味から、パソコン減税以上の効力を盛り込んでくるはず。上限が100万円から1000万円にアップすると予測している」と話す。1000万円までのIT投資を、その年度に全額償却できると、一番利益を得るのは中小企業だろう。

 もちろん政策立案が混乱している政治の現状を考えれば、楽観はできない。しかし、何かしらのIT投資減税を実施する公算は大きい。

 03年4月から施行される03年度改正税制は、03年1月に遡って適用できる。12月中旬発表の改正案によっては、この年度末商戦から効果が現われてくる可能性がある。(坂口正憲)
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