変わるかシステム入札

<変わるかシステム入札 第二章>住基ネットと住民の不安

2002/10/28 16:18

週刊BCN 2002年10月28日vol.963掲載

 今年8月1日に住民基本台帳ネットワークがスタートし、約3か月を経過した。開始から時間がたつにつれ、改めて問題点を認識する人が増加しているのではないか――。そんな調査結果が出ている。

電子自治体に暗雲

 スタート時点で住基ネット不参加を表明した神奈川県横浜市では、市民が参加、不参加を選択できる「市民選択方式」にする準備が進んでいる。10月16日に発表になった住基ネット不参加を希望する市民の数は、全市民の24.28%となる83万9539人となった。

 不参加という意志表明は、郵送もしくは区役所の窓口に出向いて行う。意志を表明しなかった人が不参加としてカウントされたというわけではない。自ら進んで意志を表明した不参加希望者が、全体の4分の1にのぼったのである。電子自治体化が進むことについて、どうやら予想以上に多くの住民が不安を抱いているようだ。

 ガートナージャパンが発表した「電子自治体・住民情報系システムに対する住民の期待と不安調査」によれば、住民の個人データが処理される電子申告・納税システム、電子申請システムについては、「不安である」という回答が、「重要である」という回答を上回った。

 この調査結果で興味深いのは、「電子自治体化が進んでいくのは重要」という認識は着実に高まっているものの、それに相関するように不安も高まっているという点である。

 例えば、重要という認識が87.9%と高い「電子情報公開システム」だが、重要と回答した人の56.4%がセキュリティ上、不安と回答。さらに、個人情報が処理されるシステムについては、不安の度合いが高くなっている。

 ガートナージャパンでは、「セキュリティ上の大きな不安をもっている住民の比率を低下させる手段を講じない限り、実際に利用される割合が低くなるのではないか」と警告している。

 電子自治体を進展させていくためには、自治体側のアピールの有無、コンピュータの技術的な問題、情報開示の際のルールの明確化など、早急に進める必要がありそうだ。(三浦優子)
  • 1