変わるかシステム入札
<変わるかシステム入札 第二章>NTTデータ経営研究所(下)
2002/10/21 20:43
週刊BCN 2002年10月21日vol.962掲載
権限ないCIOでは意味がない
――官公庁、自治体にも、一般企業と同様にCIOが必要ということだが、その場合、人材をどこから登用するのかについては、さまざまな意見がある。三谷 内部の人材を登用すべきだという意見もあるし、外部から登用すべきではないかという意見もある。
私は、適切な人材であれば、内部の人間であっても、外部の人間であってもかまわないと考える。
これは官公庁に限らず、一般企業においても同じだと思うが、CIOはITについて精通している必要はない。もちろん、基本的なITとは何かを理解する必要はあるが、詳細についてまで熟知しているべきだとは思わない。つまり、ITの専門家である必要はないということだ。
――では、CIOに必要な資質とはどんなものか。
三谷 それは、組織を変えていくべき時に、それを実行できる力だ。
例えば、「情報システムを導入することでこれだけの人材削減ができる。しかし、その権限をもっているのは自分ではないので、実施ができない」というCIOでは、存在する意味がない。
明確な権限をもった人がCIOとして適任ということを踏まえれば、地方自治体の場合、知事、市長といった、その自治体の首長がCIOになるというのもひとつの選択だ。
責任だけ負わせて権限はもたせないというパターンが最もよくないパターンではないか。
これまで電子申請、電子調達といった電子自治体のフロントエンドシステムに注目が集まってきたが、最近はそうしたフロントエンドのシステムを生かすバックヤードのシステムの重要性が浮上してきた。
そうなると、CIOによって自分のところのシステムの使い方を検証し、どう活用していけばコスト削減につながっていくのかといったシステムの見直しを行っていくべきだろう。
――ITの基本知識だけで十分だとしても、有能なCIOを誕生させるために教育制度も必要になるように思うが。
三谷 9月18日に開催されたIT戦略本部の会議で、「各府省情報化統括責任者=CIO連絡会議の設置」が決定した。
このなかでCIO教育ということもテーマになっていくのではないか。従来に比べ、CIOの必要性が強く叫ばれるようになった。徐々にではあるが、環境は前進しているといえるのではないか。
(三浦優子)
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