HDDそのまま棄てないで!
<HDDそのまま棄てないで!>3.消えないデータの完全消去法
2002/10/21 16:18
週刊BCN 2002年10月21日vol.962掲載
(1)データをゴミ箱に捨てる
(2)「削除」コマンドを実行する
(3)ゴミ箱を空にする
(4)フォーマットする
(5)リカバリーCDを使って工場出荷状態に戻す
という作業を行う。
上記の(1)から(3)の消去方法は、OSおよびアプリケーションソフトによるファイル単位での削除方法だが、いずれもコマンドで復活させることができる。例えば、ゴミ箱に捨てたデータは、ファイルメニューの「元に戻す」でデータを戻すことができるし、削除(DELETE)コマンドで消したデータは、「UNDELETE」コマンドで復元することができる。
(4)の方法は、OS上の領域を設定および開放するための作業であり、「FDISK」や「FORMAT」コマンドがこれにあたる。(5)は、(4)の作業を行った上から、さらに新たなデータを上書きするという方法である。
これらの方法を実行することによって、HDDのファイル管理セクター(FAT)にあるファイル管理領域の情報が消去され、ウィンドウズから情報の格納位置がわからなくなり、データが見つかりにくくなる。
しかしこれも、単にデータのアドレスを変更しているだけなので、残っているFAT領域以外のデータ領域に残ったデータ領域管理情報を解析することによって、ファイル管理領域情報を推測することが可能になる。
以上のデータ消去方法は、HDDに記録されたファイル管理情報エリアの情報を無効にしているだけにすぎない。
このシステムを一冊の本にたとえると、ファイル管理領域が目次であり、実データ領域がその本文にあたる。
この本の目次を破り捨てたところで、本文は変わりなく存在し続ける。
つまり、この削除方法を実行してもデータが見えなくなっただけで、データそのものは依然として存在し続けるのだ。
特殊なデータ回復のためのソフトウェアを利用すれば、これらのデータを再び呼び出し、読み取ることが可能になる。
悪意のある人間がデータ回復ソフトウェアを使い、廃棄あるいは譲渡されたパソコンから個人情報を読み取って、予期せぬ用途に利用されてしまう恐れもある。
そうならないためには、データが二度と復元できないようなデータ消去法を実行する必要がある。
次回は、消去作業を行った後にデータを復旧させるためのソフトをご紹介しよう。(有限会社マイカ 取締役 井上真花)
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