HDDそのまま棄てないで!
<HDDそのまま棄てないで!>2.正しい情報をユーザーに
2002/10/14 16:18
週刊BCN 2002年10月14日vol.961掲載
しかし実際は、ウィンドウズからそのデータを呼び出すことができなくなっただけで、本体となる実データはHDDに残っている。したがって、パソコンの廃棄あるいは譲渡時に正しいデータ消去作業を行わない限り、実データは残る。
悪意のある第三者が特殊なソフトウェアなどを利用し、そのデータを再利用した結果、個人情報や企業機密が漏洩するなどのトラブルを引き起こすことにもなりかねない。
しかし現状では、多くのユーザーがパソコン廃棄時にHDDのデータを消去しなければならないということも、また正しいデータの消去方法も認識していない。メーカーはこういったユーザーに対し、パソコン廃棄時あるいは譲渡時のデータ流出防止対策の重要性についての注意を喚起しなければならない。
メーカーがユーザーにHDDデータ消去の重要性と方法を提示するタイミングは、パソコン廃棄処理の受付時とリース・レンタル期間終了にともなう返却時、それとユーザーからの廃棄・譲渡等に関する問合せ時が適当だろう。この3つのポイントでユーザーにデータ消去の重要性と方法について説明する対応として、以下の方法が考えられる。
パソコンに添付するマニュアルに、パソコン譲渡あるいは廃棄時の対応について記載する。また、ホームページやカタログなど、ユーザーの目に触れる可能性の高い媒体にも同じ内容を記載してユーザーの注意を喚起する。その際、表現が間違っていないか、ユーザーの混乱を招かないよう業界統一の表記を用いているかなど、しっかりチェックする必要がある。
また、パソコンの使用に関する契約書や資料などにも本件に関する記述を盛り込み、レンタル業者や周辺業者などに対しても同様の対応を行うよう指導する。さらに、ユーザーの問い合わせに直接対応する販売促進部門のユーザー対応窓口は、HDDデータ消去の重要性や消去方法について、ユーザーが正しく理解するように詳しく説明し、有償サービスや市販のデータ消去ツールの利用を推奨する必要がある。
以上、メーカーが正しい情報を提示することによって、データ漏洩によるトラブルをある程度防止することができるようになる。次回からは、いよいよHDD内のデータを削除する方法についてご説明しよう。(有限会社マイカ 取締役 井上真花)
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