開眼できるか! 中小IT化ビジネス
<開眼できるか! 中小IT化ビジネス>4.ITCの真価は多様性
2002/09/23 16:04
週刊BCN 2002年09月23日vol.958掲載
確かに、ITC(制度)については毀誉褒貶がある。「ITCの看板でどれだけの商売ができるのか。特に中小企業にはほとんど認知されていない」(システム会社社長)、「ハードルが低いので、ITの知識やスキルにバラつきがあり過ぎる」(ソフト会社関係者)など、業界内では否定的な見方が多い。
実際、ITC協会関係者に話を聞いても、「現実問題として、中小企業だけを相手にしていてはビジネスが成り立たない。意識して狙うのは堅実な中堅企業になる」と素直に認める。
ただ、筆者は何もITCにボランティア活動を期待しているわけではないし、ITに関して全知全能の調整役だとも思っていない。ITCに期待しているのは、その人的ネットワークなのである。
ITCが「経営とITがわかる調整役」だとしても、1人がカバーできる範囲は限られる。だが、それが3人集まり4人集まり、それぞれが専門分野で強みを寄せ合えばどうなるのか。
例えば、流通業の在庫管理システムを構築する場合。データベース技術に詳しいITC(ベンダー関係者)と、業務設計ができるITC(経営コンサルタント)、財務面から改善提案できるITC(公認会計士)が集まれば、それは大きな力になる。
これは何も理想論を語っているわけではない。「顧客へ新しい提案をするのに、経営コンサル業のITCに力を借りたところ、自分にはない発想や提案があり、顧客も喜んでいた」(東京都内のITC候補生)。すでに、ITCの人的ネットワークを活用する動きが始まっている。
ITC協会関係者も、「ITC同士はメールなどを通じて密に連絡を取り合っており、眼に見えないところで様々な協業が生まれている」と話す。この柔軟で幅広い人的ネットワークが、中小のIT化に欠かせない支援基盤になりそうな気がする。(坂口正憲)
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