サイバーテロへの備え

<サイバーテロへの備え>第11回 出かけるときには服を着ましょう

2002/09/16 16:18

週刊BCN 2002年09月16日vol.957掲載

 インターネットに接続して、電子メールを使ったり、ホームページを見に行ったり、さまざまなデータをダウンロードしてくるといった行動を、自分が「インターネット町」へ出かけて、他の人の家を訪ねたり、郵便を出しに行ったり、本屋へ買い物に行くことと比較して考えてみましょう。街中をうろうろするわけですから、ちゃんと服を着て、雨が降っていれば傘をもって、またバイクなどを使う場合にもそれ相応の準備を整えてから出かけていくと思います。また、着ている服などについても、ほころびがあればつくろい、壊れていれば直すことでしょう。

では、パソコンを使ってインターネットを利用する時、何の対策もとらずにいるということはどういうことになると考えられるでしょうか、わかりますか?――。それは、「服も着ないでインターネット町に出かけていく」のと同じようなことなのです。しかも、雨が降りしきる町の中へ。好奇の目にさらされるのはもちろん、風邪をひいて倒れてしまったり、その前に警察(!)に捕まって身動きできなくなってしまうでしょう。そうならないためには、当然、装備を整える必要があります。どうやってパソコンに服を着せたら良いのでしょうか。

まず、パソコンの、セキュリティに関する設定をきちんと確認することです。最近流行したワームのなかには、ホームページの閲覧やメールのプレビューだけで感染してしまうものがありました。このようなワームでも、実はウェブブラウザやメーラーの設定を安全側に変更しておくだけで感染を防ぐことができたのです。また、幸い、以前とは違って最近はセキュリティ対策用のソフトウェアが数多く発売されています。ウイルスから身を守るためのワクチンソフトや、個人で使うためのファイアウォールなど、価格も安くなり、気軽に導入できるようになりました。これらのソフトウェアを利用することも重要です

しかし、これらの対策を施したからといって、それで十分というわけではありません。新たに見つかったセキュリティホールに対応したパッチの適用や、ワクチンソフトのパターンファイルの更新などは、インターネットを利用していく以上、常に続けていかなければならないのです。この「続けていく」ということが最も重要です。自らのパソコンは、自分で責任をもって最新の状態に保つということ、これがインターネットを利用する上での義務であるといえるでしょう。自分を守るだけでなく、ほかの利用者に迷惑をかけないためにも。(警察庁情報通信局技術対策課 課長補佐 野本靖之)
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